夜久野のムベと金平糖コラボ 京の老舗「緑寿庵清水」が開発に強い思い 創業180周年の記念商品に
2026年06月23日 のニュース
京都府福知山市夜久野町西垣自治会(羽上田良和自治会長)が栽培するムベ(郁子)を使い、新たな商品の開発が進められている。手掛けるのは老舗金平糖専門店「緑寿庵清水」(清水泰博社長、京都市)で、創業180周年の記念企画として、ムベと金平糖のコラボが実現する。
ムベはアケビ科のつる性植物。天智天皇が元気な老夫婦から長寿の果実として差し出された実を食べ、「むべなるかな(もっともだ)」と答えたことが名前の由来とされる。古くから無病長寿の霊果といわれていて、全国でも栽培されている場所は少ないという。同自治会では「地域を元気村に」を合言葉に、2016年から約7アールの休耕田を活用してムベ栽培に取り組んできた。
今回のコラボのきっかけは昨年11月。創業180周年の節目に花を添える新商品にふさわしい素材を探している中、ムベの存在を知った清水社長(61)が、同自治会ムベ事業部長の衣川秀正さん(75)に連絡を取ったことから話が動き始めた。
20日には清水社長と妻で常務取締役の珠代さん(50)が集落を訪れ、農園を視察し、住民らとの懇談会で開発に懸ける思いを語った。
果実の風味生かす 年明けから販売へ
緑寿庵清水は1847(弘化4)年創業。国内唯一の専門店として、伝統的な製法を守りながらも多彩な素材を生かした独創的な金平糖づくりで知られる。これまでから、すだち、橘、桃など、日本で古くから食べられている伝統的な食材を使った製品を開発しているほか、天皇陛下の御即位や皇室の御慶事の際の記念品となる金平糖も手掛けている。
清水社長はムベが持つ歴史や希少性に魅力を感じたことに加え、5年前に亡くなった自身の母・郁子さんの名前とムベの漢字が同じだったことにも強い縁を感じたという。
現在は、同自治会から提供を受けたムベを使って試作を重ねている段階。通常は新商品の構想から完成まで2年ほど要するが、年内の完成をめざし、清水社長自ら開発に取り組んでいる。
完成品は、ムベの甘みを生かした上品であっさりとした風味とし、中を白色、表面は果皮をイメージした淡い紫色に仕上げる予定。年明けごろからの販売を見込んでいる。
懇談会で清水社長は「金平糖を愛し、人生を懸けてきた母に少しでも恩返しができればという思いもある。みなさんには貴重なムベを提供いただき本当に感謝している。必ずや丹精込めて製造し、おいしい金平糖に仕上げたい」と語った。
西垣のムベ農園は、2021年12月に大雪の重みで棚が倒壊し、壊滅的な被害を受けた。しかし、愛好者らから寄せられた励ましの声を支えに再建を果たし、現在では京阪神や関東など、全国から注文を受ける地域の特産へと成長。こうした動きが新たな展開につながった。
紆余曲折の道のりを振り返り、衣川さんは「栽培を始めて10年。多くの方々に支えられてここまで続けてこられた。金平糖としての商品化は涙が出るほどうれしく、住民一同完成を心待ちにしています」と期待を寄せている。
写真上(クリックで拡大)=衣川さん(左)から農園の説明を受ける清水社長ら
写真下(クリックで拡大)=西垣で栽培されるムベ









