絶滅寸前種の蝶と共存へ 新たな形の植栽地を整備 NPO丹波漆

2026年06月19日 のニュース

 京都府福知山市夜久野町平野の宝山(田倉山)のふもとには、NPO法人丹波漆(高橋治子理事長)が絶滅の恐れがある蝶との共生をめざし、繁殖に必要な樹木を残して整備した漆の植栽地がある。植栽地では「森の宝石」とも称される希少な蝶・ゼフィルスの姿が見られる。

 1300年以上の歴史を持つ丹波漆を次世代へ継承しようと活動する同法人は、漆の収量拡大をめざし、町内各地で植栽地を整備している。

 宝山のふもとにある植栽地は、もともとシイタケの原木となるコナラやナラガシワの木が生い茂る山林だった。2年前、同法人理事で漆掻き職人の山内耕祐さん(38)が地元住民から植栽地への活用を提案されたが、ゼフィルスの生息地であることを知っていたため、慎重に検討した。

 ゼフィルスはシジミチョウ科に属する蝶の一部を指す愛称で、日本には25種ほどが生息する。宝山には府のレッドリストで絶滅寸前種に指定されている「ヒロオビミドリシジミ」や準絶滅危惧種の「ウラジロミドリシジミ」が確認されており、これらの蝶の発生にはナラガシワの木が欠かせないという。

 山内さんは植栽地の整備にあたり、以前から同町でゼフィルスの調査などを続けている京都大学大学院の淺野悟史准教授(40)に相談した。ナラガシワの残し方や周辺木の伐採方法について助言を受けながら整備を進め、蝶が生息できる環境を維持しつつ植栽地として活用できる形を実現。現在は約60本のウルシが植えられている。

 ゼフィルスは木々が過度に密集した環境では繁殖しにくいとされる。淺野准教授は「蝶の減少には山林管理の不足も大きく関係している。ウルシ植栽地として適切に手入れを行うことは、生き物にとっても良い環境づくりにつながる」と話す。

漆への関心高めるきっかけにも

 同法人は昨年から、ゼフィルスが発生する6月に成虫観察会を開いている。今年は13日にあり、蝶や自然に関心を持つ子どもから大人までが参加。ゼフィルスは愛好家の間でも人気が高く、京都市内から訪れた人もいた。

 淺野准教授が講師を務め、蝶の生態について解説したあと、参加者らと植栽地へ向かった。ゼフィルスは高さ15メートルを超えるナラガシワの樹冠部にいることが多く、淺野准教授が長さ10メートル以上の虫取り網で捕獲。参加者は間近で観察し、再び森へ放たれる様子を見守った。

 山内さんは「新たな試みが希少な生物の保全や環境保全につながるだけでなく、これまで縁のなかった人たちが漆に関心を持つきっかけにもなれば」と期待を寄せている。


写真(クリックで拡大)=ナラガシワを残したウルシ植栽地
写真(クリックで拡大)=準絶滅危惧種のウラジロミドリシジミ=淺野准教授提供=

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