映画『国宝』異例の1年上映、あと1週間“最後の花道” 福知山シネマ 

2026年06月04日 のニュース

 昨年6月6日に公開され、社会現象となった映画『国宝』。京都府福知山市広小路通りにある福知山シネマでは、封切りから1年が経った現在、関西で唯一の上映館となり、異例の超ロングランを続けている。ロケ地との縁などにも恵まれ、同シネマの歴代記録を塗り替える大ヒット作となったが、11日に上映終了を迎える。

 国宝は、任侠の家に生まれるも歌舞伎界に飛び込んだ主人公が、激動の人生を歩みながら希代の女形として芸の道を究めていく様を描いた一代記。日本アカデミー賞で最優秀作品賞などを獲得。興行収入200億円を突破し、邦画実写映画の興収1位を22年ぶりに更新する快挙を成し遂げた。

 福知山シネマでも人気を博し、最終日まで行けば連続上映日数は54週(368日)と歴代最長で、2020年の『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の38週を大きく上回る。

 観客動員数も実写映画としては最多で、1万7千人前後に達する見込み。これまで『永遠の0』など、ヒット作はあったが5千人ほどで、同シネマは「実写で1万人を超えた作品は記憶にない。約3時間の長尺で回転数も稼げない中すごい」と話す。

 ヒットの要因として口コミとリピーターのほか、劇中のロケ地の一つとなった近畿最古の芝居小屋「出石永楽館」(兵庫県豊岡市)の存在が大きいという。

 公開初日、豊岡市内では上映館がなく、永楽館の赤浦毅館長が最寄りの福知山シネマを訪れたことから交流が始まった。以来、互いの存在を来館者に紹介するとともに、永楽館が所蔵する劇中で使われた小道具をシアター内に飾る特別展示などを実施。そのうち、劇中に登場する架空の劇場のちょうちんがプレゼントされ、現在もロビーに展示している。

 来館者数は公開3週目から徐々に伸び、別館のまちのば(60席)に移った昨年8月は連日満席。10月までは人数が落ちず、年始には一日100人以上の日もあった。現在は落ち着いて平日は一桁ほどだが、ゴールデンウィーク期間は40人を超える回もあり、勢いは衰えなかった。

 同シネマの番組編成・広報担当の細川龍作さんは「映画ファン以外の層も取り込めたのが大きかった。繁忙期など、終わるタイミングはあったが、豊岡をはじめ、永楽館に寄る人が市外から来てくれることも多く、無理せず長く続けられた」と振り返る。

 現在は全国で上映しているのは10館で、関西では福知山シネマのみ。2日に来館した京都市の60代男性は「いつか見に行こうとは思っていたのですが、なかなか時間が取れず、ここでしかやっていなかったので来ました。まもなく動画配信サービスで配信が始まりますが、やっぱり映画館で見たかった」と話していた。

 国宝は映画館大賞を受賞したことを記念して、5日から11日まで全国の劇場で再上映され、その期間に合わせて“最後の花道を”と、福知山シネマも上映を終える。

 細川さんは「国宝の魅力を体験として最大限味わえるのは映画館でこそ。あとわずかなので、ぜひ見に来てもらえたら」と呼びかけている。 

  

写真上(クリックで拡大)=ロビーには劇中で使われたちょうちんなどが飾られている
写真下(クリックで拡大)=1年経った今も国宝を観賞するために人が訪れる

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