農業から挑む脱炭素  三和町の「シーズン」、バイオ炭でCO2削減

2026年05月29日 のニュース

 京都府福知山市三和町で万願寺とうがらしを大規模生産する農業会社Season(久保世智社長)が、バイオ炭を活用した二酸化炭素(CO2)削減の取り組みに挑戦している。有機素材由来のバイオ炭を農業で使い、土壌に炭素をためることで、大気中に放出されるCO2を減らす試み。久保社長は「持続可能な地球環境をめざしたい」と話す。

温暖化の影響身近に感じる

 同社は2019年から三和町で万願寺とうがらしの栽培を行っており、現在はビニールハウスと露地の計1万2500平方メートルで年間60トン以上を生産している。しかし、近年は夏場の暑さで実が日焼けをするなどし、収量が減ることが増えた。

 地球温暖化が進んでいる-。農作物の世話を通じてそう感じ、「課題解決へ何かアプローチができないか?」と調べる中でバイオ炭のことを知った。24年から農業での活用を開始し、バイオ炭による環境改善の効果の測定や農業へのメリットの模索を始めた。

土壌改良にも期待

 バイオ炭は木材、もみ殻、家畜ふん尿などを定められた基準で加熱して作られたもの。通常、木材などは土にかえる過程で微生物に分解されてCO2が大気中に放出されるが、炭にすることで分解されにくくなり、排出の抑制につながるとされる。

 また、バイオ炭は無数の細かな穴があり、土にすき込むことで排水性や通気性が良くなるほか、穴が微生物の住処になることで、他の有機物の分解が進み、土壌改良の効果も期待される。

作物への効果を検証し手応えも

 同社では24年に600キロ、25年に500キロ、26年に3700キロを投入。ビニールハウスや畑ごとに、投入量を変えて作物への影響を調べており、バイオ炭を活用した方が収量が伸び、品質も上がることが確認され始めているという。

 「バイオ炭だけの効果かは今後も検証が必要ですが、手応えを感じています。バイオ炭を投入するコストも賄える結果が出ているので、事業者としての持続性も確保しながら、地球環境改善の取り組みを進めていきたい」と力を込める。

 バイオ炭は市外から購入しているが、地元の未利用のバイオマス資源で安定して生成できないかも試行錯誤している。

将来へ向けて取り組みの発展も

 同社では自社が排出しているCO2量の測定にも取り組み、CO2削減量の見える化も進めている。将来的には、同社の排出量を上回った削減分を、カーボンクレジットとして企業に販売することも考えており、市が立ち上げた「市持続可能なエネルギー・環境共創プラットフォーム」にも参画。対外的な情報発信や企業との連携もめざしている。

 久保社長は「農業をやる上で、自然環境はすごく大切な要素です。将来的には、本業の農業をしっかりとしながらも、恩恵を得つつ環境改善につながるひとつのモデルとして地域や全国に広がればと思っています。安定的に良い作物を作り続けられる環境を守っていきたい」と話す。

 

写真上か(クリックで拡大)
・バイオ炭を持つ久保さん
・機械や人手を使ってバイオ炭を畑にまく(提供)
・バイオ炭を使ったハウス栽培で実った万願寺とうがらし
・生育状況を確認する久保さん

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