福知山初のJリーガー、大槻周平選手が引退

2024年01月24日 のニュース

 京都府福知山市初のJリーガー、大槻周平選手(34)が20日、現役引退を発表した。試合終了のホイッスルが鳴るまで、チームのために走り回り、泥臭くゴールを狙い続けた点取り屋。プロ生活12年間でJ1リーグ106試合8得点、J2リーグ170試合で32得点を記録したが、数字よりも、ガッツあふれるプレーや持ち前の明るい性格で多くのファンを魅了。惜しまれながら、ユニホームを脱ぐ決断をした。

 今安出身。4歳上と1歳上の兄2人の影響を受けて6歳でサッカーを始め、小学生のころは修斉サッカークラブ、中学では福知山ジュニアユースに所属。福知山成美高校2年生のときには、全国高校サッカー選手権京都大会の決勝戦でゴールを決め、府北部勢の初優勝に貢献。大阪学院大学体育会サッカー部では、3回生のときに関西学生選抜に選出された。

■湘南に入団しJ1昇格に貢献■

 気持ちを前面に押し出し、前線からアグレッシブな守備でチームに貢献できる万能型のストライカーとして、2012年に当時J2の湘南ベルマーレに入団。1年目には、当時の監督から技術だけでなく、プロとしての心持ちなどの姿勢を学び、厳しい練習にも必死で食らいついた。そのかいあって、シーズン終盤には貴重なゴールを連発。最終節でも1得点し、J1昇格に貢献した。

 その後、全治6カ月の大けがを負い、苦しい時期を過ごしたこともあったが、復帰後は、豊富な運動量で攻守にわたって体を張る献身的なプレーに磨きをかけ、ハードワークを基本としたスピード感あふれる「湘南スタイル」を象徴する選手に成長。15、16年は主力としてチームを引っ張り、J1で活躍した。

■J1神戸ではチームの潤滑油に■

 さらなる活躍の場を求めて、17年にはJ1ヴィッセル神戸に入団。先輩後輩分け隔てなく「いじられる愛されキャラ」として、新加入選手と既存選手の潤滑油のような役割も担った。18年4月のガンバ大阪戦では、終了間際に劇的な決勝ゴールを決める活躍を見せた。また、スペインの至宝、アンドレス・イニエスタ選手ともプレー。世界レベルを体感した。

■30歳で自己最高の12得点を記録■

 レギュラー獲得をめざすなかで、メンタルの重要性や自分自身と向き合うことの大切さに気付いた。「自身の弱さを認め、得意とするプレーで勝負すること」を意識。J2のモンテディオ山形に加入した19年には、クロスボールに対して体を投げ出し、ヘディングや利き足の左足で蹴り込むパターンで得点を量産。30歳のシーズンに自己最高記録の12得点をマークした。

 その後、ジェフユナイテッド市原・千葉を経て、21年7月からレノファ山口FCに所属。ベテラン選手として持ち味を発揮するも出場機会に恵まれず、23年12月に契約満了が発表された。

 大槻選手は「プロ生活12年間で、たくさんの仲間たちと出会い、ともに戦った日々は最高の思い出で財産です。プロサッカー選手は人に夢を与えられる素晴らしい職業でした。ここまで長くプロでやれたのも、お世話になった全ての方々のおかげです。幸せな日々を本当にありがとうございました」と感謝。

 古里の子どもたちには「ぼくは小さい頃から高校生まで福知山で生活しましたが、ここで育ったからこそプロとして12年間できたと思っています。みんなにも無限の可能性があるので、夢や目標に向かって諦めずに何事も楽しんでください。そして福知山という街で生まれて育ったことに誇りを持ってください」とエールを送っている。

■「努力家で誰より早くグラウンドに」と同級生■

 幼いころからボールを蹴り合った同級生の大谷俊介さん(34)は「幼少期から高校まで、ともに駆け抜けた戦友が、サッカー選手になり、夢を与えてくれたことを本当に誇りに思います。高校時代から負けず嫌いで努力家の周平は、誰よりも早くグラウンドに出てボールを蹴っていたのを思い出します。プロという厳しい世界でも、自分を信じ、全てにおいて準備を徹底する姿、泥臭く最後まで諦めない姿勢にいつも勇気と元気をもらっていました。最高の12年間をありがとう」とねぎらった。

■大阪学院大の指導者に就任■

 2月からは母校の大阪学院大学サッカー部のコーチに就任し、指導者として新たなスタートを切る。「今までの経験を生かし、学生たちの力になれるよう全力を尽くします」と意気込んでいる。

 

写真(クリックで拡大)=現役引退する大槻選手(c)RENOFA YAMAGUCHI FC

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