集団接種支える陰の力-薬剤師奮闘 閉め切った部屋で黙々と薬液詰める
2021年06月10日 のニュース

京都府福知山市の在宅高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場の小部屋で、注射器に薬液を詰める作業が黙々と行われている。従事しているのは福知山薬剤師会(江口知明会長)の薬剤師たち。市民の目に触れないところで、接種業務を支える縁の下の力持ちとして奮闘している。
在宅高齢者に使用している米ファイザー社製ワクチンは、温度管理や振動で品質低下を招く恐れがあり、厳格な取り扱いが必要になる。市の要請に応えて同薬剤師会がその役目を果たしている。
薬剤師会は、集団接種が始まる5月27日までに3回の研修をして備えてきた。薬局、病院勤務の70人以上が協力し、午後のみの平日は2人、休日は午前と午後で各2人が従事する。
作業をする部屋はワクチンの品質保持のため、紫外線が当たらないように遮光カーテンで閉め切り、室温も肌寒さを感じるほど低い。
注射器に薬液を詰めて希釈する調剤業務は、作業手順書を作って進め方を徹底。あせらず正確な作業を心掛け、薬剤師同士のダブルチェックもして完成した注射器を接種会場のスタッフに引き渡している。
市の集団接種は、福知山医師会の医師、公募で集まった看護師、市職員ら多くのスタッフが力を合わせている。薬剤師もそれらの一員で、江口会長(54)は「みんなが『最善の接種を市民のために』という思いのワンチームで同じ方向を向いています。私たち薬剤師も、ともに頑張りたい」と話していた。
写真=あせらず正確に注射器へ薬液を充填。ダブルチェックをして品質管理を徹底している(8日の市武道館会場で)