山の神様に祈り初鎌 夜久野で丹波の漆掻き始まる

2021年06月09日 のニュース

 福知山市夜久野町で、今年の漆掻きが始まった。京都府無形文化財に指定される採取方法「丹波の漆掻き」を守り伝えるNPO法人丹波漆の会員たちが、8日に夜久野高原で、その年最初に漆の木に刃物を当てる「初鎌」をして採取シーズンの幕が開けた。

 古くから漆の産地として多くの人が携わった夜久野だが、戦後は輸入漆や合成樹脂に押されて途絶えかけた。産業としては成り立たないものの、西日本で唯一、伝統文化として受け継がれてきた。

 歴史ある神社仏閣や大事にされてきた木像など、文化財を維持・修繕するためには国産漆が欠かせない。貴重な文化財を守るためにもと、近年はNPO丹波漆が漆の木の植栽や後継者育成に取り組んできた。植栽地はシカの被害に遭い、軌道に乗るまで時間を要しているが、次代を担う若い掻き手たちは育っている。

 採取するのは夜久野高原の森の中に自生する4本。ベテランから新人まで4人が1本ずつ担当する。

 5月下旬から周辺の深い草を刈り、丸太などの資材を運び、漆の木の周囲に作業用の足場を組んで準備してきた。足場4基が組み上がると、まるで戦国時代の砦のよう。伝統文化を守る砦とも重なって見える。

 初鎌は岡本嘉明理事長(76)があいさつしてから、夜久野生活7年目で活動の主力に育った山内耕祐さん(33)が、漆の木の下に清酒などの供え物をして「作業が安全に進みますよう。良い漆がたくさんとれますよう」と、山の神様に祈った。

 初日は木ごとの特性を見極め、どの面に採取用の傷を付けていくかを検討。ベテランの岡本理事長のアドバイスを受けながら、専用の鎌で樹皮をこそげ落とした。

 これから4日ごとに木に入れる傷の数、幅を増やしていく。採取は、傷から染み出た漆を専用のヘラで1滴、1滴掻き集める地道な作業。夏場に盛りを迎え、9月末まで続く。

 とれる量は、通常は漆の木1本から牛乳瓶1本分ぐらい。会員たちの技術が向上してきて昨年は漆の木9本から計3・6キロを収穫できた。会員たちは、今年も「牛乳瓶2本ずつ採取できたら」と目標を立てている。

写真=採取用の傷を入れる場所を見極め、専用の鎌で今年最初の樹皮をそいだ

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