旧中六小が大規模改修でオシャレな農業体験型施設に オープン記念でマルシェ
2020年10月12日 のニュース
児童数減少で閉校した京都府福知山市下地、旧中六人部小学校が民間企業による大規模改修で、おしゃれな農業体験型施設に生まれ変わった。六人部(むとべ)地域にあることから「THE610BASE(ムトベース)」と名付けられ、10日にオープン記念のマルシェが開かれた。
2018年3月に閉校。跡地活用が大きな課題となっている中で、篠尾新町の総合電気設備業、井上株式会社(井上大輔社長)が今年1月に、市と10年間の賃貸借契約を結んだ。その後グラウンドにビニールハウス7棟を設置。つないで2142平方メートルの広い空間をつくり、9月にイチゴ1万5千株の苗を植えた。
施設整備に先立ち、昨年には学校近くの農地を地元農家から借り、約400平方メートルのハウス1棟で試験栽培を開始。指導を受け、温度管理にも気を配りながら、ほぼ無農薬で育てたりしてきた。
グラウンドのハウスでは12月中旬から収穫を始める予定で、これに合わせて摘み取り体験や洋菓子店への卸売りを開始。地域貢献にと、リノベーションした校舎では直売やイチゴのジャム、ソフトクリーム、かき氷などを販売するほか、不定期でマルシェなどを開催し、気軽に人が集まれる場にしていく。
■跡地活用のモデルにと市が期待■
9日にはオープニングセレモニーを開き、井上社長(46)は「さまざまな人とご縁をいただき、事業を進めることができました」と感謝。大橋一夫市長は式辞で「学校の跡地活用を考えるなかで、このような提案をいただけてうれしい。多くの人でにぎわう地域拠点になり、跡地活用のモデル事例に」と期待を述べた。
10日のマルシェにはピザやコーヒー、パンの店など、市内と綾部にある人気の5店が出店。井上がムトベース運営のために設けた社内組織「フィールズザベース」もブースを出し、昨年から学校近くの農地で試験栽培し、収穫したイチゴを使ったマドレーヌやフィナンシェといった菓子、イチゴソースなどを販売した。
リノベーションしたエントランスホールには、デザインカーのほか、学校のいすや机も置かれ、飲食が楽しめるように。廃校舎がおしゃれな空間に生まれ変わり、子どもを被写体に記念撮影する人もいた。
夫、子ども2人と一緒に訪れた京丹波町の伴田絵里さん(32)=京丹波町=は「有名店が出店していて、良いイベントだと思います。シーズンにはイチゴ摘み体験もできると聞いたので、また子どもを連れて来たいです」と話していた。
次回のマルシェは11月に開く予定。
写真上=にぎわうマルシェで記念撮影も楽しんだ
写真中=セレモニーで地域貢献への思いを語る井上社長
写真下=グラウンドに整備したビニールハウス。イチゴを栽培している
廃校でイチゴ栽培 校舎改修してカフェ、菓子教室も(2020年3月公開)