広域:朝来市が全小中学生にシールド 机に立てて給食安心
2020年06月12日 のニュース
各地で学校が再開され、それぞれに新型コロナウイルスの感染予防対策に苦心している。兵庫県朝来市では飛沫感染予防用として、市内小中学校の全員に机上用透明シールドの配布を始めた。マスクを外す給食で使うほか、グループ授業などでも活用していく。
塩ビ製で縦43センチ、横35センチの板を3枚、リングでつないで衝立状にして机に立てる。机のフックにゴムをかけて倒れにくくするシンプルな作り。支柱が無いため視界を邪魔せず、圧迫感も少ない。折りたたむとコンパクトなため、机の中に仕舞っておける。市内でバネを作っている森本発条社が工夫して市に提案し、採用することになった。
市内には9小学校と4中学校があり、児童生徒数は2158人。教職員242人分と予備を含めた計2400人分を、市教委が約300万円で購入した。学校ごとに順次納入されている。
市内では5月21日から分散登校が始まり、6月1日から学校再開。授業は午前中だったが、8日から給食が再開された。
和田山町柳原の和田山中学校(丸山雅清校長、405人)には給食初日にシールドが納入されて、さっそく利用開始。3日目の10日には、みんな早くも慣れた手つきで組み立てて使っていた。
これまで給食は班ごとに机をくっつけ、にぎやかに食べていたが、再開後は机を離したままで食べるスタイルに。配膳方法も改めた。食事中は会話をしないことにしている。考えられるソフト面での予防策を全部取り入れた上でのシールド配布。「完全に予防できるものではありませんが、シールドがあることによる安心感はとても大きいです」と、岩野智哉教頭は話す。
■生徒の意識も変化■
これまで但馬地方では感染者が出ておらず、地域によって意識に違いが出ている。朝来市は、感染者の出た福知山市、丹波市と接していて、行き来する人も多いことから、大人たちの間では緊張感があったが、子どもたちには「ほかの場所のこと」との印象も。シールドを使うようになって「自分たちも気を付けないといけないことなんだ」と自覚するようになる効果もあった。
2年の岩谷ななかさんは「学校が再開されて友だちと会えたりするようになり、うれしい。作ってもらったシールドを大事にしていきたい」。同学年の絹巻湧作君は「コの字型のシールドなので、包まれて守られている感じがします。安心して給食が食べられ、おいしいです」と喜び、2人とも、コロナへの意識が高まったと話していた。
丸山校長は「これからも感染予防を徹底していきたい」と気持ちを引き締め、シールドを、意見交換する授業やカウンセリングなどでも使って行くことを考えているという。
写真=机にシールドを立てる生徒たち(和田山中学校で10日)