オーベルジュ ナカザワ 中澤 守弘 さん

30歳で訪れたフランスは、ヌーベル・キュイジーヌ(新しい料理)の最中でした。パリ、南仏、ブルゴーニュ、そしてベルギーで修業をしましたが、料理には、それぞれの土地の歴史や文化が隠されていることを強く感じました。
約20年間、京都市内でビストロ(小さな料理店)を開いていましたが、南仏で修業したオーベルジュ(宿泊施設付きのレストラン)が忘れられず、同じシチュエーションを探し求め、2000年に美山にやって来ました。
若狭の海の幸と美山の山の幸にフランス文化を融合させた料理のテーマは「体が喜ぶ料理」です。料理人としてプライドがありますから「食べておいしい」のは当たり前。それに加えて食べた人の体が喜ぶ料理を心がけています。その最良の方法が「地産地消」です。古くからその土地に育ち、十分に力を蓄えた「旬」の時期の食材は薬にもなる。私の役割は、それを仲介し、いかにおいしくお客さんにお出しするか、という点に尽きると思います。
日本人は食事を舌だけで味わいがちですが、ここでは木々の緑や鳥のさえずり、風のにおいや川のせせらぎなど、五感、六感まで駆使して味わっていただきたい。 (談)
匠プロフィール
1946年、京都市生まれ。77年、日本で修業後、渡仏。帰国後、京都の中心街で「シェ・ナカザワ」を開業。2000年、美山に移転し1日1組の「オーベルジュナカザワ」を開く。全日本オーベルジュ協会理事。京都府「現代の名工」。農林水産省「地産地消の仕事人」「ボランタリー・プランナー」。厚生労働大臣表彰
【オーベルジュ ナカザワ】
所/南丹市美山町板橋舟ノ向16-1
TEL0771-75-2001
2019年04月19日 16:00