包丁研ぎに3兄弟で15時間 三和のNOMIに海外からも食通

2024年01月02日 のニュース

 新進気鋭の3兄弟がシェフを務める京都府福知山市三和町下川合、NOMI(ノーミ)レストラン。「切れ味」をコンセプトにした新しいスタイル、そして絶品のジビエ、山菜、地場野菜を使ったコース料理が話題を呼び、開店から2年も経たないうちに、都心部や海外の食通、料理人が訪れる人気店になった。

 シェフの3兄弟は、山本遊士丸さん(23)、陽之進さん(21)、凛志郎さん(18)。父の晋也さん(55)と母の小登美さん(56)とともに、2009年に京都市から同町上川合に移住してきた。

 晋也さんはIターン後に、農業での過疎地活性化に取り組むみわ・ダッシュ村の副村長に就任し、米作りなどの農業を始めた。しかし、「畑仕事だけでは収益的に厳しい」と、村内にあったプレハブ小屋を家族総出で改修。10年ほど前にカフェをオープンさせた。

 3兄弟も料理などを手伝っていたが、当時の責任者は晋也さん。それから新型コロナウイルスが流行し、家族ら少人数で訪れ、感染を気にせず楽しめる予約制のレストランへと、22年1月に業態を変更した。

 これを機に、全責任を3兄弟に委ねることに。3人ともに、三重県にある月山義高刃物店代表の藤原将志さんから、包丁研ぎの極意を教わる機会があり、そこで料理における「切れ味」の大切さを再認識。店のコンセプトにしようと決めた。

 遊士丸さんは「幼少期から、兄弟でナイフを研いで、誰が一番うまく研げるか競い合ったり、自分で釣った魚をさばいたりしていました。そのころから、切れ味が大事だと感じていましたが、『おいしく切る』ということを、藤原さんから論理的に教わり、さらに追及するようになりました」と話す。

■「キュウリ3本で切れ味が落ちる」 1コースで包丁20本使い分け■

 よく切れるだけでなく、素材に合った研ぎ方をした“切れ味の良い包丁”を使うと、味、香り、食感など全てが変わる。肉、魚、野菜など、1コースで20本ほどの包丁を使い分けるため、一日の研ぎ時間は1人5時間。3人では延べ15時間に及ぶ。

 「キュウリでいうと、3本切れば切れ味が落ちるので」

 研ぎ時間を確保できないため、客は一日8人限定。切れ味の重要性を知ってもらうため、目の前で切ったキュウリ、数ミクロンの薄さに削ったかつお節のだしなどを提供し、3人がプレゼンしながらコースは進んでいく。

 そして、わな猟で生け捕りにし、自分たちで解体したジビエのハンバーグ、10日間熟成したシカのロースカツ、自家製の米など、こだわり抜いた料理が並び、美食家の舌をうならせる。ハンバーグの付け合わせ、最後に出すコーヒーにまで、手を抜くことはない。

 SNSを駆使した宣伝や口コミで店のうわさは広まり、現在では東京など都心部のほか、シンガポール、中国といった海外からも客が訪れ、予約は2、3カ月先まで埋まっている。

 3人は「もっと世界中から客が訪れる店にして、日本のすばらしい文化と切れ味の大切さを、多くの人に知ってほしい。『SUKIYAKI』のように、『KIREAJI』という言葉が、英単語になるところまで浸透できれば」と熱っぽく語る。

 コースは1人1万9800円から。不定休。

 

写真(クリックで拡大)上から
 ・シェフの山本陽之進さん(左から)、遊士丸さん、凛志郎さん
 ・サンフランシスコからも来店する
 ・3兄弟で分担してコース料理を作る
 ・切れ味の良い包丁で切るとニンジンも極細に
 ・美食家が絶賛するジビエのハンバーグ
 ・おしゃれな外観のレストラン
このエントリーをはてなブックマークに追加
京都北都信用金庫
大嶋カーサービス

 

「きょうで満一歳」お申し込み

24時間アクセスランキング

著作権について

このホームページに使用している記事、写真、図版はすべて株式会社両丹日日新聞社、もしくは情報提供者が著作権を有しています。
全部または一部を原文もしくは加工して利用される場合は、商用、非商用の別、また媒体を問わず、必ず事前に両丹日日新聞社へご連絡下さい。