ドライブインやくの 閉店後も芝生広場美しく維持
2024年05月15日 のニュース
京都府福知山市夜久野町小倉の国道9号沿いで、ドライバーたちの休憩所として親しまれた「ドライブインやくの」が3月末に閉店してから、1カ月半が経った。駐車場の入り口にはバリケードが置かれ、建物の窓には盗難対策のためにベニヤ板が張られている。もの寂しい雰囲気が漂う一方で、店舗そばに広がる約8800平方メートルの「夜久野高原芝生広場」は、きれいに草が刈られ、営業時と変わらない景観が今も保たれている。
芝生広場はドライブインやくのを運営していたアシタ日和山(本社・兵庫県豊岡市、今津一也社長)の敷地で、手入れするのは同店の責任者だった仲田博紀さん(64)=京丹後市=。現在は与謝野町にある別店舗に勤務しながら、月に1、2回、施設の管理業務のために店舗跡を訪れている。
草刈りは、近くの住民たちの手も借りながら、芝刈り機を使って作業をする。これは「まちの活性化イベントなどに使われ、地元の人たちから親しまれていた場所をきれいな状態に保つことで、少しでも地域に貢献できれば」との思いから。今も広場の利用の申し出があれば応じるようにしていて、直近では5月上旬、地元の小中一貫校・夜久野学園の遠足行事で使用された。
また、芝生広場を会場として長年開かれていた、夜久野の夏の風物詩「やくの高原まつり」は、今年も同じ場所で開催することが決まっている。仲田さんは「できる範囲で手入れを続けていきたい」とほほ笑む。
■農匠の郷の利用者は増加
これまで休憩などでドライブインを利用していたドライバーたちが、国道から道を奥に1本入ったところにある道の駅「農匠の郷」を訪れるようになった。平日、休日問わず、以前より多くの人の姿が見られる。
トイレをよく利用するという運送業の男性(62)は「仕事で国道9号を通りますが、ドライブインが閉まってからは道の駅に来るようになりました。近くに大きなトラックが気軽に休憩する場所が無いので助かっています」と話していた。
市のまとめによると、道の駅内にある農産物販売所「やくの高原市」のゴールデンウィーク中の来店者数は、前年より500人以上増えて3359人。高原市のスタッフ、青木順子さん(68)は「4月以降は人が増え、朝に出勤すると、すでに駐車場に車が止まっていることもあります。周辺を散策する人や近くに飲食店がないか、尋ねてこられる方も多い」と話す。
訪れる人が増える一方で、ゴミの増加や自動販売機の品切れ、トイレの備品補充の頻度が増えたなどの影響も出ているという。
市は3月、道の駅を核として、夜久野高原一帯の活性化をめざすプロジェクトチームを立ち上げ、月に一度、施策を練る会議を開いている。
道の駅へ足を運ぶ人が増えていることも踏まえ、市は「住民の方々の声をうまく反映させながら、地域の活性化に向けて引き続き取り組んでいきたい」としている。
写真(クリックで拡大)
・きれいな景観が維持されている芝生広場
・道の駅には平日でも訪れる人が増えている(画像の一部を加工しています)