増えている鉄道の獣害 JRが市の鳥獣対策員から対策学ぶ
2023年12月12日 のニュース
京都府福知山市農林業振興課の鳥獣対策員、望月優さん(31)が8日、駅前町のJR西日本福知山管理部に招かれ、福知山保線区の社員ら約25人に獣害対策の出前講座をした。線路上に出没するシカ対策の先行事例などを伝えた。
福知山保線区ではシカやイノシシ、ツキノワグマの線路への侵入、電車と接触などが年間で900件を超えて発生しており、さらに対策を進めようと望月さんを招いた。
望月さんは「事故などの被害のほとんどを占めるシカは、体内に鉄分が豊富で、鉄分を求めており、鉄でできたレールをなめたり、電車が通った後の鉄粉を摂取したりするために線路上にやってきます。また、通り道として活用している例もあります」と話した。
防除には、「物理的に侵入を防ぐ柵、電気刺激を伴う電線が有効で、光や臭い、超音波などの獣除けは、動物の警戒心が薄れると1カ月ほどで効果が無くなります」と教えた。
先行事例としては、シカの通り道になっている場所だけ、柵を開けておき、超音波を発して電車が通ることを知らせる“シカ踏切”を紹介。「学習能力を利用し、電車が通過する前に、シカに線路から出て行ってもらうという方法で成果を上げている鉄道会社もあります」と伝えた。
このあと、ツキノワグマの危険性や身を守る方法なども教え、社員からの質問に答えた。
写真(クリックで拡大)=獣害対策について話す望月さん