クマの出没なぜ増えた? 「人慣れ個体にも注意を」獣害対策シンポで専門家が解説

2024年07月21日 のニュース

 全国的にツキノワグマの出没や人身被害が相次ぐなか、京都府福知山市は、市役所隣のハピネスふくちやまで14日に獣害対策シンポジウムを開いた。専門家が最新のクマの動向や対策を話し、参加者約80人に「出没の予測は困難で自然災害に近く、発生予防の考え方が重要」と訴えた。

 兵庫県立大学自然・科学研究所の横山真弓教授が登壇。昨年全国のクマ類の捕獲数は約9千頭、ツキノワグマの人身事故は約200件で、いずれも直近10年で最も多い。その原因として個体数の増加と分布域の拡大などが考えられるという。個体数が増えていることは間違いないが、正確な増加数などを裏付ける科学的データを示すことが難しく、殺処分に踏み出せない状況が長く続いたため、「山からあふれ出た」と状況を説明した。

 生態については目が悪く、耳と鼻で情報を得ていて、鈴などの高い音を嫌がると解説。基本的に用心深く、臆病な性格だが、「人間は何もしない生き物」だと学習して市街地に出没する“アーバン・ベア”も存在すると注意を呼びかけた。また、クマの地域個体群と県境は関係がなく「境界なき管理態勢が必要」と強調した。

 「発生してからの対策はできることが少ない」とし、好物のカキの木の伐採や電気柵の設置など、生活圏に引き寄せないための対策を話した。「福知山にも点在するカキの木の管理は被害を防ぐ一歩」と言い、そのためには「地域の力が必要」と伝えた。

 

写真(クリックで拡大)
・講演資料から
・講演する横山教授

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