クマの目撃多く、繁殖シーズン迎え市が注意呼びかけ
2024年07月01日 のニュース
ツキノワグマの目撃件数が増えている。京都府福知山市内では、5月のみの件数としては過去6年間で最多となった。6月に入っても連日のようにある。8月ごろにかけては繁殖シーズンで、雄が行動範囲を広げてパートナーを探す時期でもあり、思わぬ場所で鉢合わせする可能性がある。市農林業振興課は「誰でも、遭遇するかもしれないという意識を持つことが大切です」と注意を呼びかける。
市内での今年の目撃件数は5月だけで25件あり、昨年より8件多い。6月も28日現在で19件となった。ただし、クマの頭数が増えているわけではないという。
同課の鳥獣対策員、望月優さん(32)は「4月に夜久野町のレストラン倉庫に侵入する事例があり、テレビなどで大々的に取り上げられたことで市民の意識が高まり、多くの方からの通報につながっているようです」と分析している。
毎年5月~7月は目撃件数が増える。ビワ、クワの実といった食料を探すほか、繁殖のために出歩くクマが増えるなど要因が複数ある。望月さんは「同じく目撃数が増える9月~11月は、柿の実を狙うというハッキリとした要因があるのに対して、この時期は明確なクマよけの対策が難しい」という。
それでも対策には、家周辺に生ごみなども含めてエサになる物を置かないことや、山の近くなどで活動するときはラジオや鈴などで人間の存在をアピールすること-を挙げる。
また、対策をしていても、人間への警戒心が薄い子グマが、パートナーを探す雄に母グマの元から追い払われ、ふらふらと人里に近づいてくる場合もあるとし、「いつどこで出あってもおかしくない」。実際に21日には、庵我地区で、徒歩通学中の児童と付き添いの保護者が、通学路そばで子グマを目撃している。現場に居合わせた保護者は「子どもたちはすごく驚いていたし、なかなか緊迫感がありました」と振り返る。
望月さんは「もし出あってしまった場合は、声を出して刺激したりせず、クマを見ながらゆっくりと距離を取り、転んだりしないように落ち着いて車や建物の中など、安全が確保できる場所へ避難してください」と話す。
写真(クリックで拡大)=木をかじるクマ(福知山市農林業振興課提供)