絶景100年、由良川橋梁 青い海と空を背に列車が走る

2024年07月10日 のニュース

 青い海と空をバックに、赤褐色の鉄橋を列車が走る。日本海に面した由良川河口近くにあり、宮津市由良と舞鶴市西神崎を結ぶ京都丹後鉄道宮舞線の由良川橋梁。完成から今年で100周年を迎えた。今でも多くの鉄道ファンや写真愛好家らが訪れる絶景スポットとして人気が高い。

■水面から3メートル 土木遺産に認定■

 由良川橋梁は大正13年(1924)に、旧国鉄宮津線の宮津-舞鶴間の開業に合わせて造られた。全長は552メートル。鉄道橋としては府内最長を誇る。水面から桁までの高さは約3メートル。鋼板や型鋼を組み合わせて断面がI形になるように組み立てた「プレートガーダー」桁のシンプルな構造で、アーチや壁などがないため、橋梁を走る列車がはっきりと見える。

 コンクリート製の橋脚は全部で23基。表面には目地が刻まれ、石積み風になっている。

 2015年度に「建設当時国内最多径間を誇るコンクリート橋脚の鈑桁橋梁であり、築後90年を経るも保存状態が極めて良好である」として、公益社団法人土木学会選奨の土木遺産に認定された。

 橋梁を走る列車は1時間に往復2本程度。レストラン列車「丹後くろまつ号」とカフェ列車「丹後あかまつ号」が橋を渡る際には、乗客が車窓からの景色を楽しめるよう、徐行運転をする。

 橋梁周辺の撮影スポットには、土、日曜、祝日だけでなく、平日でも多くの人たちが訪れる。由良側の橋梁のすぐそばからは、神崎方面から走ってくる列車を間近で撮ることができる。また橋梁から由良川を少しさかのぼった場所からは、真っ青な水面と青空が一体となった情景の中を走る列車の撮影が可能だ。

■いろいろな角度から撮影できる■

 京都丹後鉄道の写真撮影が趣味で、以前は由良川橋梁に頻繁に行っていたという福知山市の歯科医師、眞下肇さん(61)は「列車の写真を撮るには良い場所で、海面に近い所を列車が走るスポットはなかなかない。いろいろな角度から撮影できるのがいいですね」と話す。

 5年ほど前から由良川橋梁の写真を撮り続ける東野町の大内昌男さん(82)は「もともと撮り鉄ではありませんが、景色が素晴らしいので撮影によく行きます。紺碧の空と真っ青な海を入れて、走る列車を撮るようにしています。条件に合った写真の撮影は難しいですが、これからもどんどん挑戦したい」と意気込む。

■腐食防止など安全管理続ける■

 路線は鉄道施設保持と運行を別会社が担う「上下分離方式」になっていて、鉄道設備を管理する北近畿タンゴ鉄道株式会社は、潮風による橋梁の腐食を防ぐため、橋桁を塗り直していて、今年度からはさびに強いフッ素加工を施している。

 これまで大きな事故や自然災害による被害はない。同社は「由良川橋梁が出来てから100年になるが、何かあっては大変なので、日ごろからの安全管理と点検を、これからもしっかりとしていきたい」と言う。

 京都丹後鉄道の運行に携わるウィラートレインズ株式会社は、イベント開催時などで橋梁に列車を走らせることがある。近々では、JR東海から昨年3月に譲り受けた特急型気動車「キハ85系」(現KTR8500形)が、宮舞線100周年イベントとして一日限定で昼間に走った。普段は暗くなった入庫の時にだけ橋梁を渡るため、鉄道ファンを喜ばせた。

 同社は、橋梁を渡る列車の写真をクリアファイルや卓上カレンダーなどにも活用。広報担当者は「由良川橋梁は『海の京都』を感じてもらえる絶景ポイントなので、これからもどんどんPRしていきたい」と話している。

 

写真(クリックで拡大)
・橋梁を渡る列車
・ウィンドサーフィンをする人を入れながら撮ることもできる(眞下さん撮影)
・赤褐色が際立つ橋梁
・大内さん
・橋梁のそばから撮れるポイントもある

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