台風7号被害から1カ月 心の休まらない日々続く大江町
2023年09月16日 のニュース
京都府福知山市に大きな被害をもたらした台風7号の襲来から15日で1カ月が経つ。市内では復旧作業が進められ、通行規制が解除される道路などがある一方で、今もなお被災した自宅の片付けなどに追われる住民がいる。台風シーズンはまだ続くことから、被災地からは更なる災害の発生に不安を募らせる声も上がっている。
■更なる雨に不安■
大江町河守中央で時計店を営む中川英男さん(79)は、自宅兼店舗に泥水が押し寄せる被害を受けた。家族らと協力して3日間で大部分を取り除き、被災から5日後には従来の生活を取り戻した。
中川さんは「屋内は自力で元に戻すことができ、倉庫などからの泥出しはボランティアの方にも協力してもらって、以前のように暮らせるようになりました。ですが、いまだに少しの雨が降ったり雷が鳴ったりすると、心配でたまりません」と、今後の台風襲来や豪雨発生を危惧している。
■今も避難生活■
同町蓼原に住む桐村義郎さん(82)、洋子さん(77)夫妻は被災から1カ月経つ現在も近くの息子の家で避難生活を続けている。
豪雨の影響で自宅裏の山から大量の土砂が押し寄せ、家の中にも流れ込んだ。家屋は現在も1階の半分ほどの高さまで土砂で埋まっていて、雨が降るたびに家の中に泥が流れ込むという。土砂で配管などが破損し、水道、電気などのライフラインも途絶えている。
洋子さんは「土砂を取り除かないことには何も進みません。被災した自宅をながめているだけで何もできず、この1カ月はずっと気が休まらない日々でした」と話す。
家の周囲の土砂は、近隣住民らの手配で、業者が撤去を開始する予定といい、ようやく復旧への一歩が踏み出せると表情を和らげる。
「大変なことになりましたが、誰もけがが無く無事だったことが何よりです。災害時、家の周囲が泥の海になっていたところを救出してくださった消防職員の方々、業者の手配など助けてもらっている地域の人たちには感謝の気持ちでいっぱいです。出来ることから地道に進めていきたい」と洋子さんは話している。
■片付けのめど立たず■
大量の土砂が住宅地に流れ込み、そばを流れる川も含め道路全体が土砂で埋まった同町市原では、行政による土砂の撤去が進められている。土砂により壊れていた合併浄化槽も修復され、住民の生活は元の形に戻りつつある。一方で、各家庭では家の清掃やゴミの処分などに追われていて、住民からは疲労の色が見える。
自治会長の中野実賢さん(63)は「土砂が撤去されたことで、ようやく自宅の片付けに手を付けられています。いつ終わるか、めどは全く立ちませんが、とにかく一つずつ進めていくしかない」と話す。
業者によって撤去された川の土砂だが、台風被害以降、雨が降ると多くの土砂が川に流れ込むようになり、撤去が終わった箇所にも再び土砂が堆積し始めている。
中野さんは「山の中にある砂防がダメになっているのかもしれない。土砂がたまると大雨が降ればまた氾濫してしまう。せっかく片付けてもまた災害が起きてしまうかもしれず、そう考えると心配になります」と話していた。
府中丹西土木事務所によると、同地域の川の上流にある砂防にたまった土砂の撤去を早急に行う予定だという。
写真上から(クリックで拡大表示)
店内に押し寄せた泥水の深さを示す中川さん(河守中央)
蓼原の桐村さん宅。家の周りに大量の土砂が残る(13日)
市原の中野さん宅では土砂で汚れたゴミの処理に追われている(13日)