旧北丹鉄道開業100周年 いまも人びとの記憶に

2023年09月13日 のニュース

 かつて旧福知山市と旧大江町(現福知山市)間を結んだローカル私鉄「北丹鉄道」が開業して、22日で丸100年になる。廃業してすでに50年以上経つが、由良川沿いをゆっくりと走る列車の姿を記憶する市民は少なくない。市内で企画展も開かれている。

 北丹鉄道は地元の有力者らが会社を設立し、1923年(大正12年)9月22日に、福知山駅-河守駅(12・4キロ、全8駅)間で開業した。非電化の単線で、創業から1950年代まで蒸気機関車(SL)が走り、その後はディーゼル機関車、気動車に移行した。

 列車は主に由良川沿いを走行。川が氾濫した際は線路が浸水被害を受け、長期にわたり運休することもあった。速度は遅く、福知山から河守までの所要時間は45~52分かかった。

 走っている自転車に追い抜かれたり、線路の老朽化で、車両が脱線したりしたという話もある。また乗り遅れた乗客がいると、駅を発車した後でも車両が後戻りして、客を乗せたというエピソードも残る。

 沿線住民や河守鉱山の鉱石を運ぶなど、多くの利用があったが、自動車の普及などで乗客が減り、1971年に営業を休止。74年に運営会社が解散となった。

 同町蓼原でオートバイと自転車の販売店を経営する迫田厚さん(73)は若いころ、北丹鉄道を利用した。「蓼原駅から福知山西駅まで乗り、そこから広小路や新町によく行きました」と懐かしむ。「蓼原駅の近くでは、放牧されていた牛が線路敷に入ってきたため、機関車から運転士が降りて、線路から追い出していたことを覚えています。のんびりとした鉄道でした」と振り返る。

■駅名標など貴重な資料並ぶ 福知山鉄道館■

 岡ノの福知山城公園内にオープンした福知山鉄道館フクレルに、企画展示として北丹鉄道に関連する資料が並んでいる。

 展示資料は約40点。フクレルの前身、福知山鉄道館ポッポランドに所蔵していた資料で、北丹のディーゼル機関車のプレートや福知山西駅の木製駅名標、鉄道・バスの路線図、旅客賃金表、機関士の腕章など、当時使われていた貴重な品ばかりで、親子連れらが興味深く見ている。

 年内いっぱい展示する予定。入館は有料で、開館時間は午前9時から午後5時(入館は同4時30分)まで。火曜休館。

■河守駅の紙製模型、本などを展示 図書館大江分館■

 かつて北丹鉄道の駅があった場所付近に建つ大江町河守の市立図書館大江分館でも関連する図書などを展示している。

 図書は「北丹鉄道の歴史」「福知山鉄道物語」など、分館の所蔵品や町内の住民から借りた計15冊が並ぶ。

 手書きの路線図、年表、写真などを参考にしながら、職員が厚紙で作った北丹・河守駅駅舎の模型も展示。一部区間が北丹鉄道と重なる京都丹後鉄道の車両が載った図鑑なども置いている。

 開業100年の22日には、大江分館で本を借りた先着30人に、北丹鉄道で走ったSLの2号機関車をデザインした紙製のしおりをプレゼントする。

 展示は30日まで。開館時間は午前10時から午後6時まで。月曜、祝日は休館。

 

写真上から(クリックで拡大)
下川駅-福知山西駅間の由良川沿いを走る北丹鉄道の気動車(福田静二さん提供)
資料約40点がそろう(フクレル)
図書などを展示(大江分館)

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