がん患者に帽子編んで7年 長尾のお年寄りたち

2023年01月16日 のニュース

 京都府福知山市長尾の70代~90代の女性たちが、抗がん治療で髪が抜けるなどした市立福知山市民病院(厚中問屋町)のがん患者のために、手作り帽子を贈る活動を7年にわたって続けている。屋外活動ができない冬場が中心で、今が最も作業がはかどる時期。帽子を喜んでくれる人たちを思い浮かべながら、手を進める。

 帽子を作っているのは、長尾ほほえみサロンの人たち。肌触りの良いタオル帽子が、市民病院で患者に配られていることを知り、「自分たちもやりたい」と病院に働きかけて2016年2月に始めた。

 作業場所は、空き家を活用して整備する地区内の活動拠点「サロンハウス」。決まった活動日はなく、天気が悪い日や寒い日に4、5人が自然と集まる。昼休憩を挟んで一日4時間程度の根を詰める作業だが、「手だけ動かしたらいいし、話が尽きない」「脳トレよね」と楽しんでいる。

 帽子は“一日でも早く笑顔が戻りますように”などのメッセージを添えて市民病院に託し、患者が好きなものを選んで持ち帰る。手縫いのタオル帽子が中心だったが、1年前からは、「寒い時にも使えるように」と毛糸帽子を手編みで作り、これまでにタオルと毛糸を合わせて300個以上仕上げた。

■患者からお礼の手紙 心の交流温かく■

 昨年1月に、長尾の女性たちを驚かせる出来事があった。帽子を使う患者や家族たちが書いたお礼の手紙が届いた。「私が好きな色(ミントグリーン)でしたので頂きました!」「とてもすてきな帽子でした。母親に似合いそうなので頂きました」。手紙は額に入れて大切にしている。

 長尾の瀬川羊子さん(91)は「喜んでもらえていることが分かってうれしかった。もう生きがいです」と優しくほほ笑む。

 がん患者たちと接する市民病院のがん化学療法看護認定看護師は「自宅ではタオル帽子、外出時は毛糸の帽子など使い分けをされている方もいらっしゃいます。カラフルな色もあって好評です」と話し、「長尾のみなさんの真心が詰まった帽子は本当にありがたい。患者さんの手紙も心が温かく、お互いの気持ちのつながりを見せていただいているようです」と喜ぶ。

 

写真上=がん患者を思いながら、手作り帽子をつくる長尾ほほえみサロンの女性たち
写真下=完成したタオル帽子と毛糸の帽子

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