鳥インフル防疫に野外で使える除菌剤 府が三段池で実験

2022年12月26日 のニュース

 福知山市猪崎の三段池ラビハウス動物園(二本松俊邦園長)で、京都府畜産センター=綾部市位田町=が、研究機関と共同で開発した鳥インフルエンザなどの防疫に有効な散布型除菌剤を使った実証実験を始めた。従来の消石灰の散布による除菌に比べ、安全性や景観維持に対する効果が期待できるという。今後2カ月間にわたり経過観察をしていく。

 使うのはヨウ素系の消毒剤を火山性の軽石に吸着させた粒状の除菌剤。神奈川県の建材メーカーとヨウ素研究を手がける茨城県の企業が共同開発した。京都産業大学と府畜産センターも研究に携わってきた。

 畜産センターでは、施設内での検証を行ってきたが、国内の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが多発するなか、消石灰を使いづらい公園や動物園での利用性を検証しようと、三段池動物園の協力を得て、施設外で初めての散布が実現した。

 通常、消石灰散布は野外で長時間の消毒効果を維持することは難しく、2週間ほどの間隔で散布する必要がある。対して実証除菌剤は、消石灰と同程度の殺菌力で、効果は2カ月ほどと持続時間が長いという。

 また弱酸性で、強アルカリ性の消石灰と比べ、人体や動植物に優しい。1粒4ミリ程度で、淡い褐色をしていて見た目も土壌や植物になじむ自然な風合いのため景観を損なわず、不特定多数の人が出入りする場所での利用も見込めるという。

 23日に畜産センター職員と建材メーカー社員が動物園を訪問。飼育している鳥類約30種、90羽のゲージ柵の前にヨドックス粒計120キログラムをまき、土壌のpH(水素イオン濃度)や景観への影響を調べた。今後も定期的に土壌のサンプル採取を行い、調査を継続していく予定。

 畜産センター研究・支援部の加藤あかね主任研究員は「土壌にも相性があるため、除菌の効果時間や土壌に変化があるかなどを確かめていきたい」と意気込んでいた。

 これまで鳥インフルエンザ対策として消石灰をまいてきた二本松園長は「実証除菌剤は目立たないのがいい。散布も消石灰に比べて手間がかからず楽です」と話していた。

 

写真=消石灰に代わり除菌剤を散布した

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