緊急事態宣言延長 飲食店での提供自粛続き、造り酒屋が悲鳴
2021年05月12日 のニュース

京都府に発令されている新型コロナウイルスの緊急事態宣言は、12日から延長期間に入った。今月31日まで。延長期間は、大規模小売店などの休業要請が土、日曜日限定に緩和。一方で、酒類提供店への休業要請は継続する。酒に関わる業種にとっては苦難が続き、先行きが見えない状況に頭を悩ませている。
福知山市の造り酒屋、東和酒造(今川新六社長)=上野=は、3度目の宣言発令を受けて、飲食店などへの販売本数が激減。2回目の宣言(今年1月14日~2月末)から徐々に減っており、売り上げは平年の2割ほどに落ち込んでいるという。
これに伴い、在庫は通常の1・5倍に膨れ上がり、倉庫は歩くスペースがないほど。売り上げが確保できないなか、投資はなるべく抑えたいが、酒の品質維持のため、やむなく業務用の冷蔵庫を新たに1台購入した。
女性杜氏の今川純さん(40)は「宣言延長は予想していましたが、『解除後も酒の提供禁止が継続されるのでは』という不安が拭えず、終わりが見えない」と漏らす。
また「飲食店にしか協力金が出ないなど、不公平感があります。酒の卸売業者さんも大変だと聞いていて、業界全体に対しての支援を行政は考えてほしい」と要望する。
資金繰りも厳しいといい、「一年で日本酒が一番売れる11、12月までに、新型コロナがある程度収まらないと、本当に店が潰れてしまう」と危機感を抱いている。
写真=倉庫は在庫の山になっている