市内の感染者判明から1年 臨時休校や行事中止続いた学校、悩む先生たち
2021年03月08日 のニュース

新型コロナウイルスの感染者が京都府福知山市内で初めて確認されてから、7日で1年になった。それまで「都会の出来事」だったのが、京都府北部でも確認され、「地方にいても他人事で無くなった」日。小中学校では臨時休校になったり、行事の中止や縮小を余儀なくされるなど、対応に追われた。対策の徹底は現在も求められ、教職員たちにとっては試行錯誤の日々が続く。
感染防止のため、小中学校は昨年3月3日から20日間の臨時休校となり、さらに1回目の緊急事態宣言発令を受け、4月21日から再度休校。1カ月後に再開されたが、学習時間を確保するため、夏休みを短縮するなどして対応した。
臨時休校の期間中は、市独自の施策として、学校見守りを実施。両親が共働きで、家で一人になる子らを学校で受け入れた。再開後についても、マスク着用や消毒の徹底、学校行事の中止や縮小など、教育現場は目まぐるしく変容していった。
■「出来るだけ行事は催したい」■
授業風景も変わった。前田の雀部小学校では、音楽は児童の距離が保てるよう、広い体育館でしている。合唱はマスクを着用し、リコーダーの学習は渡り廊下を利用する。
昨年10月の修学旅行は、これまでの大阪など都市部ではなく、郷土愛を育む機会にと、京都丹後鉄道を貸し切りにして天橋立などを巡り、別の日には市内の烏ケ岳登山もした。
全校児童が集まる機会は減少し、今年度は、1学期の始業式と終業式のみだった。ほかの式や集会は、すべて校内放送を活用した。12日の6年生を送る会も、3グループに分け、時間差で取り組むという。
「子どもたちに我慢を強いる指導はしたくない。こんな状況でも、出来るだけ工夫して行事などを開催し、いろんなことを経験させたい」と葦原宏校長。アンケートを取ると、「学校は楽しい」と答える児童の割合が、新型コロナの発生以前より低くなっていて、さらなる心のケアが今後の課題という。
葦原校長は「地域住民、保護者の理解があるからこそ、対策できていると思っています。以前の状況に戻るのが一番ですが、それまでは気を緩めず、取り組んでいきたい」と話している。
■市内の感染者数は7日までに累計69人■
市内の感染状況は、昨年3月に1人目が判明して以降、10月までは月0~4人で推移。11月は10人、12月が6人となり、今年1月には26人と感染スピードが加速した。2月は14人と減少し、17日以降に新規陽性者は出ていない。
市民の感染者は、7日までに累計69人。
写真=雀部小では音楽を体育館で実施している(6年生の合唱の様子)