大工の祖あおぐ西中筋太子講 後継者不足で144年の歴史に幕
2020年09月02日 のニュース

京都府福知山市石原、土、観音寺などに住む建築・工業関係の職人たちでつくる「西中筋太子講組合」(前橋徹会長)が、解散した。明治9年(1876)の結成以来、家業の繁栄と家内安全を願い活動してきたが、1日に高野山真言宗・観音寺境内の太子堂で最後の大祭を営み、144年の歴史に幕を下ろした。
太子講組合は西中筋地区の大工職人たちを中心に、「西中筋村太子講」の名で結成された。法隆寺などを建立して大工の祖とされる聖徳太子をあおぎ、毎年会場に聖徳太子の掛け軸を掛けて総会と大祭を開催してきた。太子講が100周年を迎えた昭和51年(1976)には、観音寺本堂裏手に太子堂を建てている。
お堂は講員が中心となり、技術を結集して建立。以降はお堂で大祭を開催してきた。このころは「西中工業組合」の講名で活動し、講員の数は多い時で約40人が在籍していた。しかし高齢化や後継者不足により、近年は9人に激減。講の運営が難しくなってきたため、解散を決めた。
最後の大祭には講員7人が参加。同寺の小籔実英住職(68)、小籔実明副住職(35)が読経する中、一人ひとりが献花し、線香を供え合掌した。
太子堂は今後、観音寺が管理する。前橋会長(71)=石原=は「私も40年近く講員を務めてきて、解散は残念で仕方ありません。これで終わりではなく、今後も堂に参拝し、太子をあがめていきたい」と話している。
写真=最後の大祭で講員らが線香などを供えた