開設2年で経営支援400事業所 潜在的強み掘り起こす福知山産業センター
2020年01月28日 のニュース

京都府福知山市駅前町、市民交流プラザ1階の図書館中央館内にある福知山産業支援センター(ドッコイセ!biz)が、開設2周年を迎えた。市内の中小企業や農家、起業希望者らが、経営支援の相談を無料で何度でも受けられる。これまでに、売り上げアップをめざす400事業所の経営支援に取り組んできた。
センターは、市が2018年1月16日に開設。公募したセンター長には西山酒造場(兵庫県丹波市)の6代目社長、西山周三さんが就き、ITアドバイザー、事務員を加えた計3人態勢で運営している。
相談者が持っている潜在的なセールスポイントを掘り起こし、そこから業績向上をめざす「ビズモデル」の経営支援を主軸に、開設から丸2年で404事業者から延べ1924件の相談を受けた。リピート率は8割を超えて高く、具体策が見えるまでの伴走支援を心掛ける。ホームページの無料作成サービスも、センターの強みの一つになっている。
相談者の業種は多岐にわたり、相談内容は「新製品・新サービス」が最多で、「情報発信」「販路開拓」の3項目で全体の半数以上を占める。
具体的支援の事例は、スペイン料理レストランで人気の食事メニューをレトルト化して、都市部の高級スーパーや百貨店などへ販路を拡大▽寺を舞台にした独自性が高い英会話教室の実施-などがある。
市は「具体的な成果が出てきていて、今後も本市の産業支援における重要な位置づけだ」と評価する。
■モデルにした富士市からセンター長迎え記念トーク■
開設には、行列のできる相談所として知られる富士市産業支援センター「f-Biz」(小出宗昭センター長)をモデルにした。
民間の経営コンサルタント会社に依頼すると、高額な費用がかかるが、センターは「金をかけず成果を出す」ことが特長。セールスポイントを掘り起こし、ターゲットを絞った新商品の開発を手助けする。10年余りで全国の25自治体に広がっている。
24日には、福知山の開設2周年を記念したトークイベントが市民交流プラザで開かれた。
大橋一夫市長(66)が開設までの経緯を説明したあと、富士市の小出センター長(60)が他の公的産業支援について、「目標管理が甘く、報告書を出せば予算が入ってくる仕組みが失敗していた」と指摘。
弱みを強みに転じた戦略で、売り上げを倍増させた成功事例などを挙げながら、「具体的な知恵やアイデアを提供して、(悪い)流れを変えていく。しかもお金を使わずに。実際に売り上げをアップさせるのがセンターの支援だ」と強調した。
福知山センターについては、「厳しい目で見ても、全国の中で最もうまくいっているのが、福知山。コンサルの質が高く具体的な成果が出ている」と、2年で404事業者から1924件の相談を受けた活動をたたえた。
最後に、福知山の西山周三センター長(46)が、市内の洋菓子店で売り上げが3倍になった事例などを紹介。「中小企業を再生させ、福知山を元気にしたい」と更なる意欲を見せた。
写真=成功事例などを紹介する富士市の小出センター長(左)