統一選を前に:雇用のミスマッチと福知山

2023年03月24日 のニュース

 統一地方選を前に、京都府福知山市の課題を取材した。初回は「雇用のミスマッチ」について。地方の人口減少が続き、大きな理由は都市部への若者の流出が挙げられる。なぜ若者は地元にとどまらないのか。一つには「働く場が無い」と若者たちは言う。ところが福知山では企業の人手不足が深刻だ。

 福知山公共職業安定所管内(福知山・綾部両市)の有効求人倍率は1・8倍前後の高水準で推移している。しかし、企業の求人募集と求職者が就きたい仕事とのニーズが一致しない「雇用のミスマッチ」が、慢性的な課題としてある。

 事務的職業など一部を除いたほとんどの業種で、有効求人倍率が2倍以上の人手不足。長田野、綾部両工業団地もあって求人数が400人規模と多い「生産工程の職業」は2・95倍で270人強の不足。中小企業が大半を占める建設は132人の求人に対して求職者が21人で6・29倍、福祉は求人200人に対して求職者は64人で3・13倍と厳しさの中にある。

 京都府、福知山市の行政は、企業と協力して合同就職説明会やPRイベントに取り組み、地元就職促進に努めて成果は出ているが、充足には至らない。

 福知山建設業協会の前田秀和会長は「新卒など若い人がなかなか入ってこないため、従業員の高齢化が進んでいる。入札参加要件にもなっている技術者の確保は特に不足していて、高齢の方に頑張ってもらっているような状況であり、先の見通しが立たない不安を感じている」と話す。

 福知山民間社会福祉施設連絡協議会の岩吹泰志会長は「以前にいわれていた福祉業界の離職率は、他業種と変わらないぐらいに改善していますが、現在の売り手市場においては、夜勤がある変則勤務が敬遠されていることを、就職説明会での反応でも感じます」と話す。

 前田会長は「災害対応や除雪などまちのインフラを守る意味のある仕事」、岩吹会長も「世の中のためになるやりがいのある仕事」とした上で、「業界としても情報発信に努めているが限界がある」と肩を落とす。

 市内企業の経営相談を受ける福知山商工会議所は「建設、福祉を含め、中小・零細企業の人手不足はある。春闘で大手の賃上げの動きが続いているが、中小・零細企業にもというと、現実問題では厳しいのではないか」との見解を示す。同じく市商工会は「人手がないがために黒字廃業(業績は黒字でも事業を終了させること)への危機感を持っているところもある。ある事業所に聞くと『若い人は賃金ではなく、やりがいや休日の取りやすさを重視している』との話もあり、求職者ニーズが多様化している」とみる。

 どうすれば雇用のミスマッチを解消できるのか。行政介入を含めた抜本的な対策が求められている。

写真=官民協力の就職説明会にも取り組んでいるのだが…

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