全国で11人が受賞「すごい地方公務員」に福知山市の望月優さん ガバメントハンターの先駆け

2026年08月21日 のニュース

 京都府福知山市農業振興課の鳥獣対策員、望月優主査(34)が、地域や組織のために成果を上げた地方公務員を表彰する「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2026」を受賞した。全国から162件の応募があり、11人が選出された。福知山市職員の受賞は初めてで、府北中部でも初となる。

望月主査は2021年、福知山市が全国の市町村で初めて実施した鳥獣対策員の正規職員採用に応募し、静岡県庁から転職。行政職員として鳥獣被害対策を担う一方、第一種銃猟とわな猟の免許を持ち、狩猟期には毎週末、山に入るなど自ら捕獲現場にも立つ。近年注目される「ガバメントハンター(公務員ハンター)」の先駆け的存在となっている。

その原点は静岡県庁時代にある。興味本位でわな猟の免許を取得した後、19年4月から静岡県南伊豆町に派遣され、有害鳥獣対策を担当した。当時25歳。県庁から来た若い職員に対し、地元の猟師から「現場のことを知らないのに何が分かる」と厳しい言葉をぶつけられた。

「行政だけでは対策は進まない」。そう考え、地元の猟師に弟子入り。仕事だけでなく休日も山に入り、わなの仕掛け方や獣道の見つけ方、足跡から新旧を見分ける方法などを教わった。

住民から被害の苦情を受け、一緒に対策を考える。被害が減ると「ありがとう」と喜んでもらえる。県庁時代には少なかった住民との直接のやり取りにやりがいを感じ、市町村で鳥獣対策に携わりたいと思うようになった。

21年、福知山市が鳥獣対策の専門職員を募集していることを知り、縁もゆかりもなかった地への転職を決めた。

福知山では、地域住民が主体となる鳥獣対策に力を入れている。モデル地区の大江町毛原、夜久野町直見、三和町川合では、山際の防護柵に穴が開き、シカやイノシシが田畑に侵入していた。一方、斜面での点検や補修は住民の負担が大きく、対策が行き届いていなかった。

そこでカメラやICT機器を設置し、動物が近づくとスマートフォンなどに通知する仕組みを導入。これまで見過ごしていた小さな穴からシカが侵入する様子を映像で確認し、住民と共有した。被害の原因を「見える化」したことで、住民が柵を補修し、侵入を減らそうとする動きにつながった。

こうしたことが実を結び、三和町川合では、それまで年間40万円ほどだった鳥獣被害額を、22、23年度の取り組みによって年間2万7千円へと、93%削減した。

緊急銃猟制度の対応マニュアル主導

このほか、クマの生活圏への出没増加によって25年に始まった緊急銃猟制度についても、東北地方の先進自治体を調査。京都府内で初めての机上訓練や射撃訓練を実施し、対応マニュアルの整備も主導した。学校や自治会での出前講座、周辺自治体への情報提供、投稿サイト「note」での情報発信にも取り組む。

こうした活動が高く評価された。審査員からは「専門性と発信力を兼ね備えた、地域に欠かせない存在」「行政職員と熟練ハンターの専門性を融合し、現場対応から制度設計、人材育成、広域連携まで展開する実践力は圧巻。次代の鳥獣対策を切り開く公務員像」などといった声が寄せられた。

望月主査は「やりがいを持って、私自身が一番楽しみながら業務に取り組んできた。私一人でできることは少ないが、多くの人の協力で少しずつ意識や行動が変わり、被害軽減につながった。これからも専門性を生かして地域の力になれるよう取り組みたい」と話している。

同アワードは、自治体職員向けのインターネットメディア事業などを手掛けるホルグ(横浜市)が17年度から実施。今回の受賞者は8月17日に発表された。表彰式は11月7日に東京都内で開かれる。27年春ごろには受賞者の活動を紹介する書籍も出版される予定。 


写真上(クリックで拡大)=すごい地方公務員に選ばれた望月主査
写真下(クリックで拡大)=三和町川合の現場で箱わなを調査する望月主査(市提供)

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