市職員に代わり地元が避難所運営 市と中六で協定
2024年05月23日 のニュース
災害時に市職員が公共施設に出向いて開設する広域避難所だが、利用者が少なかったり、急激な状況の悪化で開設が遅れたりするなど課題がある。その解決に向けて京都府福知山市が、職員の代わりに地元住民が駆け付けて避難所を開設し運営できるようにする協定を、中六人部自治協議会(藤田守会長)と初めて締結した。迅速な開設と利用促進につなげる。
市内には災害時の1次広域避難所が48カ所あり、各所に市職員1人ずつが開設員として任命され、運営している。市によると、直近3年のデータでは1次広域避難所を開設しても避難者がほぼいない所が半数ほどあったという。
こういった課題を解決するため、地域住民の自主的な避難所の開設、運営が有効であるとし、避難所の早期開設▽開設員が見知った仲で住民も行きやすい▽市職員の業務過多の解消-などの効果を見込んでいる。
協定を結んだ中六人部自治協議会は、地元9自治会で組織。中六人部地区の人口は730人ほどで、1次広域避難所は下地の中六人部ふれあいセンターが指定されている。
同センターを拠点に地域活動が活発であることや、LINEを活用した住民の連絡網が整っているなどの理由から、モデルケースの第1号となった。
業務委託協定に基づいて、市からは年間の事務費と、開設実績に応じて人件費が支払われる。自治協議会は開設員を、同センターに事務所を置く中六人部地域づくり協議会(通称・ミライト中六)の本部役員に依頼。災害時には、市の要請を受けて避難所を開設、運営する。
締結式はこのほど市役所であり、大橋一夫市長と藤田会長が協定書にサインした。
大橋市長は「いつ起こるか分からない災害に対して、住民の命を守るためには迅速かつ適切な対応が必要。状況に合わせた速やかな開設ができることで住民の安心につながり、より利用しやすくなる。これを手始めとして、ほかの地域でも進めていきたい」と述べた。
藤田会長は「読めない異常気象の中、逃げる意識をしっかりと持たないといけない。住民の安心安全、大切な命を守るため、市のアドバイスもいただきながら試行錯誤して取り組んでいきたい」と話していた。
写真(クリックで拡大)=1次広域避難所の中六人部ふれあいセンター