想定外の被害出た台風7号振り返り、避難のシンポ

2024年01月26日 のニュース

 京都府福知山市による第3回「避難のあり方推進シンポジウム」が、市役所隣のハピネスふくちやまで21日に開かれた。今回は、市内でも大江町などで被害があった昨年8月の台風7号災害を振り返った。何度も由良川水系の水害に遭って来た福知山。河川改修が進み、増水への備えが整ってきたところで、これまでとは違う地域を土砂崩れが襲った台風7号災害だった。“まさか”の事態に対応するため、専門家らが意見を交わし、地域に合った避難行動について考えた。

 「福知山ならではの避難のあり方を考える」をテーマにしたパネルディスカッションがあり、京都大学防災研究所の矢守克也教授が司会進行役を務め、前川二郎副市長▽京都地方気象台の金田芳彦台長▽大江町南四自主防災会防災リーダーの土佐和弘さんら5人が登壇した。

 初めに気象台の金田台長が、台風7号による降水量を示しながら、市内の中・北部で1時間に約110ミリを記録するなど、「短時間で急激な大雨」だったと特徴を解説。台風の中心から離れた福知山で局地的に降ったことについて、「(局地的豪雨となり得る)地理的条件が合わず、理解できない」ようなまれな現象で、それゆえの予測の難しさを語った。

 前川副市長は台風接近時の市の対応を説明。気象台などの発表からピークを見据えて、避難所開設などの行動計画を作成したが、予想より早く豪雨となったため、「対応が後手に回った」と反省し、「タイムラインを過信せず、常に最悪を想定して柔軟に運用していきたい」とした。

 土佐さんは、土砂災害などに見舞われた南四自治会の当時の状況を報告。停電などの影響で市からの防災無線が機能しなかったと回想し、「住民が主体となって避難する必要性を再確認した」と話した。

 続いて各パネリストが意見を発表。香川大学創造工学部の竹之内健介准教授が「いきなりの雨だったが、近隣市の情報などヒントもいくつかあった。上流域のことに危機感を持つなど、普段から“まさか”を減らす努力を一人ひとりがすることが重要」と指摘。矢守さんは「想像を巡らせ“まさか”を“やはり”と思える準備をする必要がある」と相づちを打った。

 ほかにも「各地域で避難の判断基準を決めておく」「避難判断を早めるためにも避難後の環境整備が重要」といった意見が出された。

 パネルディスカッションのほか、福知山公立大学地域経営学部の大門大朗准教授の基調講話などがあり、オンラインを含めて225人が聴講した。

 

写真(クリックで拡大)
 ・2023年8月の台風7号災害
 ・台風7号災害を踏まえて避難について話し合ったシンポジウム

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