篠尾の川上南古墳群に木棺直葬墓2基

2024年04月01日 のニュース

 京都府福知山市は3月28日、同市篠尾の川上南古墳群のうち古墳2基が、木棺直葬墓だと分かったと発表した。福知山盆地の南西部にあり、由良川支流の弘法川右岸丘陵地に位置する古墳群で、古墳時代後期の6世紀半ばごろに造られたとみられる。

 民間事業所による開発工事に伴い、市が昨年5月末から約700平方メートルにわたり発掘調査を進めてきた。調査の結果、4基の古墳を確認。そのうち5号墳と19号墳が、墳丘上に木棺直葬の埋葬施設を設けた古墳であることが判明した。

 5号墳は直径約17メートル、高さ約3メートルの円墳。木棺は木板を組み合わせて作る形式で、すでに消滅しているが、規模は長さ約4・4メートル、幅1・1メートル。副葬品として須恵器の提瓶(ていへい)、土師器(はじき)の高杯(たかつき)、壷(つぼ)、刀子(とうす)、鉄刀、ガラス玉(49点)などが見つかっている。

 19号墳は約17メートル×10メートル、高さ約0・5メートル~1・5メートルの方墳。5号墳と同様に木棺は組合式で、すでに無くなっている。規模は長さ3・3メートル、幅1メートル。須恵器の杯や土師器の壷、矢じりの刃先の副葬品が出土している。

 5号墳、19号墳とも、粘土の塊を木棺の両端に設けて棺を固定していて、粘土の中に石を加えている共通点があることから、古墳群の中の同族の有力者の墓とみている。

 川上南古墳群の周辺には、横穴式石室を主体とした6世紀後半の向野西古墳群などがあり、川上南古墳群は横穴式石室が主流となる直前の古墳群である可能性が高く、市は「この地域を基盤とした集団や古墳群の変遷を考えるうえで貴重な資料になる」という。

 京都府立大学文学部歴史学科の菱田哲郎教授は「調査の結果、6世紀代に古墳が継続的に造られた状況が明らかになった。土器などの副葬品の配置が埋葬時の状況をよくとどめており、当時の葬送儀礼を探る重要な資料として評価できる」としている。

 

写真(クリックで拡大)=須恵器やガラス玉、刀子などの副葬品が出土した5号墳

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