牧の寺浦遺跡で中世の住居跡 府が住民に報告
2023年11月04日 のニュース
京都府が9月から発掘調査を行っている福知山市牧にある寺浦遺跡で、地元住民への調査成果の説明会がこのほど開かれた。府職員から、遺跡で発掘された鎌倉時代の遺物などの説明を受けた住民らは、遠い昔から続く地区の歴史の深さに驚いていた。
牧地区は以前から、飛鳥時代(6世紀末~7世紀前半)に作られたとされる約30基の古墳などが確認されていて、近世にまとめられた『丹波誌』には、鎌倉時代に人が住んでいたことも記されている。
府が遺跡北側の山中で砂防ダムの設置を計画していて、事業に伴う工事用道路を建設する前に、記録保存を目的に約350平方メートルの区域で発掘調査を行っている。
説明会には住民ら約20人が参加し、府教育委員会文化財保護課、濵喜和子さんから調査成果を聞いた。
出土した遺物は鎌倉時代前半(12世紀末~13世紀前半)のものが中心で、日常使いの土器や高級食器である青磁のかけらのほか、掘立柱建物の柱の痕跡などが見つかった。地面に穴を掘り、そこに直接柱を立てて屋根を支える建物のことをいい、柱跡が発見されたことで、同地区に居住域が存在したと考えられるという。
住民らは説明を聞きながら実際に柱跡が残る穴や土器のかけらを観察し、職員に熱心に質問する人もいた。
松井博孝自治会長(79)は「中世の人々が暮らしていた跡を目にして、この牧地区の歴史の深さを改めて感じました。説明会には多くの住民の参加があり、みなさんが地元に関心を持ってくれていることが分かり、うれしく思いました」と話していた。
発掘調査は11月20日で完了する予定。
写真(クリックで拡大)=説明を受けながら、住居跡を見る住民たち