AIで変わる社会構造メディアの役割は- 公立大で西田副学長に学ぶ

2024年03月30日 のニュース

 生成AIを中心に、人工知能の現状とこれからを知ろうと、京都府北部地方新聞連合会(会長・勝方努両丹日日新聞社社長)はこのほど、福知山市西小谷ケ丘の福知山公立大学で生成AI講座を開いた。講師は日本を代表する人工知能研究者で、公立大副学長の西田豊明教授(69)。AIで変わる社会構造とメディアが果たすべき役割について語った。

 「社会でのAI活用は広まる一方となり、AIが様々な情報も発信するようになるだろうが、だからこそ人が現地で取材し、事実を確かめて報道するメディアの役割はますます重要になる」

 西田教授はAIについて屈指の研究歴を持ち、これまでに人工知能学会会長や国際学会の委員などに就き、日本の研究環境向上にも努めてきた。最近も全国で生成AIの講演に招かれ多忙な日を送っている。

 今回の講座では、連合会に加盟する両丹日日新聞、あやべ市民新聞、北近畿経済新聞、広域情報紙タウンタウンの4媒体から参加した7人を前に、人工知能をめぐる歴史を概観した後、大きな関心を集めているチャットGPTを実際に使いながら解説していった。

 チャットGPTについては否定的な声も多いことを踏まえつつ、その理由を「多くは使い方を間違えているからだ」と説明。ネット上の検索サービスのように使ったり、正解を求めて使うものではない。一緒に考え事をする補助として使い、プロンプト(入力)をたくさん与えることで力を発揮する-と紹介。新聞社内のどんな業務に生かせるかなど、参加者でディスカッションした。

■世代間の分断 情報の正確性

 後半は、これからの社会とAIについて展望。様々な分野で導入が進み「今のままだと、AIが身近にある環境で育つ子どもたちが大人になったころには、それまでの人類との間に分断ができる」との懸念を示し、「人間がやってきた仕事がどんどん減っていくのは確かだ」とも。それでも「電話やインターネットが無かった時代に戻れないのと同様に、AIの無い社会には戻れない」として、将来を見越した社会構造の改革の必要性を説いた。

 また、チャットGPTは回答に間違いもあることを例に、将来的にAIが100%の正解を出してくる時代が来るのかとの質問に、西田教授は「人によってものの見方が違うということは、正解も一つではないということ。数学以外で100%の正解はありえない」。人がAIを使ってフェイク(偽)情報を発信している現状を念頭におき、「これからはAI自身が情報を発信するようにもなる」と予測して、実際に取材をし、検証しながら発信することの大切さを強調しつつ、報道機関に奮起を促した。

写真(クリックで拡大)=実際にチャットGPTを使いながらディスカッションし、これからの社会とAIを展望した

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