交通の流れ変わり、ドライブインやくの3月末で閉店

2024年02月14日 のニュース

 福知山市夜久野町小倉、夜久野高原の国道9号沿いにある「ドライブインやくの」が、3月31日で閉店する。オープンから37年間、福知山の西の玄関口にあたる夜久野峠の頂上で、ドライブ中の休憩所として多くの人に親しまれてきた。閉店を知った人たちからは惜しむ声が広がっている。

 同店は、前身の「夜久野観光センター」を引き継いだアシタ日和山(本社・兵庫県豊岡市、今津一也社長)が全面改装して1987年に開店し、マイカー旅や長距離物流トラック、観光バスなどの休憩地として利用されてきた。施設には特産品を販売する土産店のほか、近隣地域の食材を使った料理を提供するレストランやテイクアウト店があり、「黒豆ソフトクリーム」など、人気のオリジナル商品も生まれた。

 地域との結び付きは強く、同店が管理する店舗そばの広大な夜久野高原芝生広場は、夏の風物詩「やくの高原まつり」の会場になる。住民らでつくる実行委員会に無償で貸し出して、まつりは例年、町内外からの多くの人でにぎわってきた。

 過去には地元の団体に協力を呼びかけて、遠方から来る観光客向けに和太鼓演奏や福知山音頭を披露して楽しませたことも。開店当初から同店に携わり、長年にわたって店舗責任者を務める仲田博紀さん(64)は「地域に支えられ、ともに歩んでこられた店舗でした」と話す。

 大きな影響をもたらしたのは、北近畿豊岡自動車道の開通をはじめとする道路環境の変化。京阪神と山陰をつなぐ主要幹線道路だった国道9号の交通量が減り、ドライブインの利用者も減少した。そこに新型コロナウイルス禍での団体バス旅行の激減が重なった。

 この数年、経営改善に懸命に取り組んできた。しかし、建物の老朽化は進み、改修費や採算、将来性を考えると継続は難しく、閉店が決まった。仲田さんは「道路状況に左右されるのはロードサイドビジネスの宿命ですが、思い入れのある店。今はこれまで支えてくださったお客様に感謝の気持ちでいっぱいです」と、穏やかな表情で語る。

 地区の住民たちで栽培した「ムベ」を同店に納品していた衣川秀正さん(72)は「また一つ、夜久野を代表する施設が無くなるのは残念。地域に根付いた場所だったので、寂しがる人も多いと思う。それでも厳しい状況の中で頑張ってきてくれた」とねぎらう。

 店舗では、最終日の3月31日まで、通常通りの営業を行う予定。

 仲田さんは「いつもご利用いただいている方々にはご迷惑をおかけしますが、従業員一同、最後の一日まで、誠心誠意お客様に向き合ってまいります」と話している。

 

写真(クリックで拡大)=3月31日で閉店するドライブインやくの

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