夜久野高原描き続ける杉森さん 近作展に教え子次々
2024年01月21日 のニュース
京都府と兵庫県にまたがる夜久野高原を描き続けている洋画家、杉森常和さん(京都府福知山市夜久野町平野)が、兵庫県側の朝来市山東町楽音寺、ヒメハナ公園うつぎの館で近作展を開いている。現在89歳。「夏には90だよ。体力が落ちてねえ」とはいうものの、一枚一枚の絵からは古里への思いが力強く伝わってくる。会期は28日まで。無料。
長く但馬の中学校で美術の教員を務めた。退職後も生涯学習講座で絵を指導。慕われて夜久野美術クラブと和田山美術協会の会長を近年まで務め、ヒメハナ公園で作品展を開くたびに、多くの教え子たちが訪れてきた。
4年ぶりの開催となった今回も、連日にぎわいを見せる。夜久野で出土するアンモナイトや、鯨の逸話がある鯨峠の絵の前では「大昔には、このあたりは海でね」と、その場で“授業”が始まり、恩師の声に耳を傾ける来場者たちは、たちまち少年少女時代の表情に戻っていく。
「ぼくはね、夜久野高原が好きなんだよ」と杉森さん。「中でも、高原の雪景色が大好きでね。冬を過ごした後の春の景色もいいねえ」。愛着いっぱいに絵筆を運び、雪の中に伸びる一本の道の絵は、雪景色なのに温かさを感じさせる。
「最近は朝から夜まで、ずっとアトリエで描いているよ。絵はいい。描いていると本当に楽しい」
会場には油彩画約50点と水彩の小品多数が並ぶ。ヒメハナ公園うつぎの館は午前9時から午後5時まで。月曜休館。電話079(676)4587。
写真(クリックで拡大)=途切れず訪れる教え子たちに囲まれて(左から2人目が杉森さん)