「被災者が被災者を支援」の実態 公立大准教授が能登入り

2024年01月11日 のニュース

 地域防災を専門とする福知山公立大学=京都府福知山市西小谷ケ丘=の大門大朗准教授(32)が、6日から8日にかけて能登半島地震の被災地で活動した。水や灯油など救援物資を届けながら、インフラが途絶えた指定避難所や福祉避難所を巡り、雪が降り積もる被災地で被害状況を確認した。12日に緊急報告会をし、訪問して見えてきた現状などを話し、参加者とともに北近畿からどのような支援ができるのか、一緒に考える。

 大門准教授は、認定NPO法人日本災害救援ボランティアネットワーク(NVNAD)=兵庫県西宮市=のメンバーや、災害ボランティア、要配慮者の個別避難などをテーマに研究する大学教授ら計11人と、3台の車に分かれて石川県の中能登地域の羽咋市、中能登町、七尾市から、奥能登地域の輪島市へ北上した。

 七尾市の指定避難所である中島小学校では、避難所運営に携わる地元出身の大学生を訪問。6日現在、約200人が避難していて、日中は家に戻り片付けをする人が多いという。「衛生管理のため、土足をいつ禁止するのか」「帰省中の大学生、社会人が帰ってしまい、避難所運営の人手不足」などが今後の課題で、被災者による運営にも無理が出始めているという。

■スタッフは疲労蓄積 羽咋市の福祉避難所■

 羽咋市の福祉避難所では断水が続き、デイサービスの利用者20人ほどが避難生活を送る。スタッフたちは不休で対応していて、「一日をしのぐためになんとか生活をされている。1週間が過ぎストレスや疲労が蓄積し、気合や根性ではやり過ごせない時期にきている」という。

■復旧のめど立たず 輪島市は壊滅的■

 8日には輪島市を調査。地震により約200棟が延焼した観光地「輪島朝市」通りや大きな避難所の輪島高校を巡った。まちの中心部のほとんどが被災しており、壊滅的なダメージを負っていて、地震から1週間経過しているものの、家の片付けをしている人がほとんど見られず、何も進んでいない様子で、「規模は2016年の熊本地震被災地よりもひどい状況だと感じていて、復旧のめどが立たない様子だった」。

 能登半島地震は、約30万人のエリアで、死者・行方不明者は現時点で約300人に上る。「高齢化、過疎、交通など日本が抱える課題の縮図のような地域が被災した。より支援が求められる」と解説する。

 大門准教授は「福祉避難所のスタッフに支援物資を届けると、涙を流して受け取ってくれました。スタッフも被災者で、車中泊や避難所から通勤している人も多い。被災者が被災者を支援している状況なので、避難所を運営している人が一日でも休めるようになれば」と気をもむ。

■市民交流プラザで活動報告会■

 大門准教授は、今回の現地活動の報告会を、公立大地域防災研究センターの地域防災連続セミナー「しなやかなまち福知山を目指して」の緊急回として12日午後6時から7時まで、福知山市駅前町の市民交流プラザで開く。参加無料。定員は20人。希望者は直接会場へ。オンラインでも参加できるが、事前登録が必要。

 

写真(クリックで拡大、いずれも大門准教授提供)
 ・火災で焼失した輪島朝市通りの街並み
 ・避難所の状況を確認(七尾市で)

このエントリーをはてなブックマークに追加
京都北都信用金庫
大嶋カーサービス

 

「きょうで満一歳」お申し込み

24時間アクセスランキング

著作権について

このホームページに使用している記事、写真、図版はすべて株式会社両丹日日新聞社、もしくは情報提供者が著作権を有しています。
全部または一部を原文もしくは加工して利用される場合は、商用、非商用の別、また媒体を問わず、必ず事前に両丹日日新聞社へご連絡下さい。