由良川の緊急治水対策、30年計画を10年以内で完了

2022年12月12日 のニュース

 京都府中丹3市で甚大な洪水被害が発生した2013年9月の台風18号を踏まえ、国土交通省が進めていた「由良川緊急治水対策事業(福知山、綾部両市域)」が完了した。04年と13年の洪水で2度浸水した地域を対象に、連続堤防の整備や宅地かさ上げなどを実施。福知山市猪崎の市武道館で10日、完成式が開かれた。

 事業は13年6月に策定した「由良川水系河川整備計画」に基づく。当初は1959年の伊勢湾台風と2004年10月の台風23号で発生した洪水を想定し、これに対する浸水被害の防止、軽減を整備目標にして、13年度からおおむね30年間で取り組む予定だった。

 ところが、13年9月に台風18号が襲来。福知山で1097戸、舞鶴で445戸、綾部で77戸の計1619戸が床上、床下浸水被害を受けるなど、04年の台風23号以来の甚大な被害となった。これを受けて整備計画の予定を大幅に前倒しし、「緊急治水対策」として計画の大半を10年以内で実施することになった。

 対象区間は下流の舞鶴市から上流の福知山、綾部市境までとして、総事業費は約430億円。福知山では、下流の大江町北有路地区に約1160メートルの堤防(輪中堤)を整備したほか、同町二箇や下天津など7地区の計86戸で宅地かさ上げをした。

 市街地への氾濫を防ぐため、中流では左岸側の前田、戸田、観音寺地区と右岸側の川北から綾部市私市町地区にかけて計8千メートルの連続堤防を築堤。さらに河道掘削工事などに取り組み、流量を増やすなどした。

 緊急治水対策の福知山、綾部市域分が今年3月で終えたことと、市街地に大規模な内水被害を引き起こした14年8月の集中豪雨により、国、京都府、福知山市が連携して排水ポンプ強化などを実施した「総合的な治水対策」が20年5月に完了したことを受けて、近畿地方整備局が完成式を開催。渡辺学・近畿地方整備局長のほか、福知山、綾部両市の市長や市議会議長、住民ら関係者66人が出席した。

 福知山河川国道事務所の犬丸潤所長は「総合的な治水対策」に触れながら、今後の由良川の整備について説明。「14年8月規模の豪雨による浸水エリアが大幅に減少することを確認しているが、今後も引き続き関係機関と連携してハード、ソフト一体となった事前防災対策をしていく」と伝えた。

 加えて、気候変動の影響により災害が頻発化、激甚化しているとし、「府省庁、官民が連携して行う流域治水を引き続き推進していき、由良川の安心安全に努めていく」と話した。

 地元を代表して、川北自治会の三嶋博幸自治会長は「さまざまな治水事業をしていただき、地元住民も喜んでいます。私たち住民の安心安全な暮らしは大きく向上すると考えています」とあいさつし、期待と感謝のメッセージを述べた。


 

写真上=川北橋下流の前田地区に整備された連続堤防(福知山河川国道事務所提供)。中央の堤防の右側が由良川、左側に前田の農地や住宅地が広がる
写真下=くす玉を割って治水対策事業の完成を祝った

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