観音寺の不動明王立像が国の重文指定に

2022年11月24日 のニュース

 京都府福知山市観音寺の補陀洛山・観音寺(小籔実英住職)に伝わる、1本の木から彫られた平安時代前期(9世紀)の不動明王立像が、国の重要文化財に指定されることが決まった。立像の不動明王像としては極めて古く、他に代えがたい一作として評価された。市内の文化財で国の重文に指定されるのは32年ぶり。

 18日に開かれた国の文化審議会で決まった。全国で美術工芸品47点が新たに重文指定されることになった。

 観音寺にあるのは「木造不動明王立像」で、カヤ材とみられる針葉樹の木1本から彫ったもので像高は45・5センチ。左目を細める左右非対称の険しい顔つき、こめかみから立ち上がる炎髪(えんぱつ)、平安前期の制作を色濃く推測させる衣類や体型が特徴。両脇に、後年に作られた2体の童子像を従えていて、いずれも良好な状態で現存する。

 文化審議会が文部科学大臣に行った答申の解説では、「平安前期彫像の優品であり、不動明王の図像の展開を考える上で欠くことの出来ない一作として注目される」と総評した。

 小籔住職(72)は「以前の調査では江戸時代の作と聞かされていましたが、3年前の調査で平安前期に作られた芸術的にも質の高い不動明王立像と分かりました。正しく評価され、奇跡が起こったような思いです。大切に守り、秘仏にせず年に1回は公開ができればと考えています」と話している。

■市内の重文指定は広峯古墳以来で32年ぶり■

 不動明王立像としては市内最古級で、2020年に市文化財に指定されている。市内の国重文指定は、1990年の京都府広峯15号墳出土品(盤龍鏡など)から32年ぶりで、今回で6件目。市文化・スポーツ振興課は「かなり貴重なもので国の重文指定は市としても非常にうれしい」と喜んでいる。



 

写真=厨子に安置されている木造不動明王立像(提供)

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