福祉施設がセントラルキッチンで働き方改革 福知山学園

2022年11月23日 のニュース

 京都府福知山市内で6福祉施設を運営する社会福祉法人福知山学園(松本修理事長)が、各施設の調理業務を一手に引き受けるセントラルキッチンを今春から稼働している。食の品質向上を図りながら進める働き方改革で成果があり、先進的事例として注目を集めている。

 福知山学園が市内で運営する障害者、高齢者の各福祉施設の給食は、これまで施設ごとに作っていた。そのため調理担当者の早出勤務があり、施設間で調理のルールに違いがあることなど課題があった。

 そこで、食の衛生管理、おいしさの向上と同時に、業務の効率化を図るセントラルキッチン構想に8億円を投じ、法人本部がある市内三和町千束の敷地1440平方メートルに、延べ床面積660平方メートルの鉄骨造りの平屋を建てた。

 セントラルキッチンで調理したものは、風味を損なわずに瞬間冷却保存し、配送先の各事業所にある専用設備で指定時間に再加熱して提供する。翌日分の食事を前日に作って保存することが可能になり、調理担当者の早出勤務が軽減。トレーの一部だけを選んで加熱できるため、ワンプレート上でうどんはホカホカに、ゼリーは冷たい状態でというような再加熱処理ができて、盛り付け作業時間を短縮した。

 セントラルキッチンは働きやすい環境を追求し、勤務は午前9時から午後5時まで。早出勤務経験がある製造部リーダーの福島いづみさん(45)は「本当に体が楽になりました」。スタッフの石井万裕さん(26)も「施設の時は午前5時に一人で作業をしているときもありました。今はみんな同じ時間に来て働くので職員間のコミュニケーションも増えました」と話す。連休も取りやすくなった。

 現在3施設の一日670食分をセントラルキッチンで担い、来年中に残り3施設とグループホームなども含めて、法人が手掛ける全事業所の一日1750食分に拡大する見通し。

 センター稼働初期には、想定以上の人手不足が生じて7人を追加募集した。すぐに埋まり、松本理事長(54)は「これまでになかった反応速度で、早出勤務がない労働環境に魅力を感じてもらえたと思う」と手応えをつかむ。

■医療・福祉関係者の全国展示会で自信■

 全国の医療・福祉関係者が集う関連設備機器の学習・展示会「ホスペックスジャパン2022」(一般社団法人日本医療福祉設備協会など主催)が10月に東京ビッグサイトであり、先進事例として福知山学園のセントラルキッチンが採り上げられた。

 福知山学園の給食試食会は好評で、会場入りした福島さんと石井さんは「外部の人に食べてもらうのは初めてで、評価をしてもらえて自信につながった」と声をそろえる。

 講演とパネルディスカッションをした松本理事長は「セントラルキッチンの損益をよく聞かれました。確かに目標実現のために利益を減らした部分はあるけれど、将来を見据えた法人経営全体のためには必要なことだったと再認識できました」と総括した。



 

写真=各施設の給食を一手に引き受けるセントラルキッチン

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