老朽化した有線放送 継続か撤去か-中六地区が模索
2022年07月23日 のニュース
京都府福知山市中六人部地区の住民が、地域の連絡手段を模索している。50年以上前から各世帯をつなぐ有線放送を使い、地元住民に行事や告別式などの案内、避難所開設などの緊急連絡を知らせてきたが、設備の老朽化で修理費がかさみ、3年前から赤字に。設備の撤去費用や残された資金を考慮して、方向性を探っている。
地区の有線放送は、1965年に当時の中六人部農協が整備し、広報活動、相互連絡などに使っていた。広域合併した農協の撤退に伴い、2006年に地元の自治会長らで構成する中六人部自治協議会が引き継ぎ、20年からは中六人部地域づくり協議会に管理運営が委託された。現在でも旧小学校区単位の広域に一斉に連絡できる手段として活躍している。昨年は80回の利用があった。
地区内には約260世帯があり、そのうち利用する250世帯ほどが管理費として年間2400円ずつ支払い、電力会社への共架料や修理費をまかなっているが、老朽化により2019年から修理費が増加。そこから3期連続で赤字になり、不足分は繰越金で補填しており、資金の減少が続いている。
そこで昨年度から本格的に、自治協議会(藤田守会長)や地域づくり協議会(藤田重行会長)で、有線放送に代わる新しい連絡手段の検討を始め、赤字覚悟でこのまま継続するべきか、新たな連絡方法に切り替えるべきかなど住民の意見をアンケートで調査し、検討材料を集めた。
高齢化率が50%を超える地区だが、通信機器の聞き取り調査では、各世帯のスマホ使用率は75%と高いことなどが分かり、現在はスマホやタブレット端末などを活用した新たな連絡手段を検討している。
その一環で16日には、下地の中六ふれあいセンターで、福知山公立大学情報学部の山本吉伸教授や学生を講師に招き、スマホ教室を開講。15人が参加し自身のスマホを使って、インターネット環境のWⅰ-Fⅰ設定やLINE、カメラの使い方などを教わった。
参加した70代の男性は「市の補助を受けて、最近ガラケーからスマホに切り替えました。電話をかけるぐらいしかできないので、LINEの返信の仕方などを学んで、できるようになりたい」と話していた。
今後、公立大学の山本教授に新たな連絡手段の提案などを受け、秋ごろに再度住民にアンケートを実施するなどして、時期は未定ながら、最終的には自治協議会で決定するという。
地域づくり協議会の藤田会長は「一人暮らしの高齢者ら、誰一人として取り残されないような方法を探っていき、お金の面も含めて中六の実情に合ったものを考えていきたい」と話していた。
写真上=中六人部会館にある有線放送の設備
写真下=教室でスマホの使い方を学んだ