住民の避難判断材料にと荒木自治会が土砂災害センサー設置

2022年05月30日 のニュース

 2014年8月豪雨で土砂災害が起きた京都府福知山市の荒木自治会(井上良延会長、67世帯)はこのほど、企業の協力を得て、地区内に斜面崩壊を感知するセンサーを設置した。雨の季節を控えて、住民の命を守るため、有事の際の緊急避難や避難解除の判断材料にする。

 荒木地区は山間部に位置し、民家の3割が土砂災害警戒区域内に建っている。8月豪雨では、民家の裏山が崩れるなど、土砂災害が7カ所で発生。このことをきっかけに、17年に自主防災組織を結成し、防災マニュアルなどを作った。

 19年からは大学教授にアドバイスをもらいながら、随時内容の更新を図っている。これまでに、住民が避難を開始する基準などを定めた独自の「避難スイッチ」を設定したほか、今年からは、事前に心構えができるように、水害の規模を知らせる災害ポテンシャル情報を発信する予定にしている。

 斜面崩壊感知センサーは、福知山市の「避難のあり方」検討会で座長を務めた京都大学防災研究所の矢守克也教授を通じて、建設総合コンサルタントの中央開発株式会社(本社・東京都新宿区)の協力を得た。

 8月豪雨の時に土砂災害のあった場所のなかから、今後、崩壊すれば土砂が人家まで到達する可能性がある場所を選び、民家の裏山の2カ所に設置。目視では分からない小さな斜面の動きを計測する。

 変化があれば、登録した地域の人に警報メールを送る仕組み。夏ごろにはスマホ版のアプリから危険度を知らせるよう整備し、住民の避難の後押しにつなげる。

 井上自治会長(69)は「斜面崩壊感知センサーがあれば、避難先から自宅に戻るタイミングを決める材料にもなり、安心につながります。住民の行動指針は作っているが、避難訓練などをして改善点が見つかれば、その都度、より実効性の高いものにして、この地域に特化した対策を進めていきたい」と話している。


 

写真=民家の裏山に設置した斜面崩壊感知センサー

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