防獣フェンスでカバーできない谷川に可動式電気柵 ソーラー式で住民が手作り
2021年06月03日 のニュース

山林に囲まれた京都府福知山市夜久野町西垣地区の山際に、ソーラー式の手作り電気柵がこのほど設置された。獣害対策として山際や田畑の周りに総延長10キロ以上にわたって高さ約2メートルの防獣フェンスなどを設けているが、イノシシなどによる作物の被害が後を絶たない。山から谷川が流れ落ちる水路がフェンスで仕切れず、侵入路となっているため、ここをふさぐため知恵を絞った。
獣害被害は20年ほど前から増えてきた。イノシシやシカ、クマの仕業が中心だが、なかでもイノシシには手を焼いている。防獣フェンスを設置しても壊してしまう力があるうえ、ほんの20センチ程度のわずかな隙間があれば田畑に入り込む。被害を完全に食い止めるのは難しいという。
イノシシが山から集落へ下りてくる通り道として地区の人たちが目を付けたのが、防獣フェンスの下を流れる谷川。イノシシが通れる空間があり、付近の畑にサツマイモやジャガイモが食い荒らされる被害が出ていた。

ところが、谷川に防獣フェンスを設置すると豪雨時に山から流れてくる土砂が詰まるという課題があった。このため、有志5人が知恵を絞り、高さ約1・5メートル、幅約1・2メートルの可動式の電気柵を開発して取り付けた。バッテリーは12ボルトで、近くにソーラーパネルを付けた手作りの格納庫を設けた。
設置については地元の人たちに知らせており、漏電遮断器も付けている。
中島千弘自治会長(77)は「実験的に設置したもので、どれほどの効果があるかは未知数ですが、少しでも被害の軽減につながることを願っています。防獣フェンスでカバーしきれていない場所は他にもあり、効果が確認できれば設置を考えたい」と話していた。
写真上=谷川に取り付けた可動式の電気柵
写真下=ソーラーパネルが付いたバッテリー格納庫