京都府立丹後郷土資料館で「天橋立と国分寺」展 31日から国宝の雪舟図公開

2020年10月30日 のニュース

 京都府立丹後郷土資料館(宮津市国分)が1970年11月7日に開館して、今年で50周年。12月13日まで特別展「天橋立と丹後国分寺」を開いている。31日から11月23日までは、雪舟が描いた「天橋立図」(国宝)の原本が展示される。

 資料館が建つ一帯は、かつて国分寺がそびえていた。

 奈良時代の天平13年(741)、聖武天皇による「国ごとに釈迦三尊像をつくり、大般若経一部をうつせ」との詔により、全国に国分寺・国分尼寺が建立されていった。丹後国分寺も、その一つ。

 丹後郷土資料館の玄関前には、国分寺の金堂や五重塔の基壇と礎石が残っている。これは南北朝時代の建武元年(1334)に再興された国分寺。遺跡から推計すると、五重塔は高さ40メートルを超える、当時の高層建築物だった。

 創建当時の遺構は確認されていないものの、創建当時の瓦が見つかっていることから、最初の丹後国分寺もここにあり、「国の華」として、各地と同じく七重塔が建てられていたと見られる。

 国の重要拠点宗教施設としての国分寺の近くには、行政の拠点となる国府が置かれており、丹後では同じ府中の安国寺遺跡が、かつての国府だと推定されている。

 特別展では国重要文化財の「丹後国分寺再興縁起」(国分寺所蔵)、鎌倉時代の土地台帳を基にして室町時代の地名や領主、勢力関係などが分かる重文「紙本墨書丹後国諸庄郷保総田数帳目録」(成相寺所蔵)などを展示し、丹後と府中の様子を紹介する。

■様々な視点の構図を違和感なく一枚に 雪舟・天橋立図■

 雪舟の「天橋立図」は京都国立博物館所蔵で、今回特別に貸し出される。

 幼少期に叱られて柱にくくりつけられ、泣いた涙で床に描いたネズミが、まるで生きているかのように見えたとの逸話が残る、室町時代の僧侶で水墨画家の雪舟。今年が生誕600年にあたる。

 82歳で丹後を旅し、天橋立周辺を熱心に見て歩き、「天橋立図」を描き上げた。中央に丹後国分寺を配し、橋立を海側の上空から眺めた構図になっているが、成相寺は下から見上げ、栗田半島は水平視線で描くという具合に、様々な視点の眺めを組み合わせ、一枚の絵として違和感なくまとめ上げている。

 原本公開期間中は、国分寺跡でスマホを使って国分寺五重塔のAR(拡張現実)体験ができる。

 丹後郷土資料館は午前9時から午後4時30分まで(11月23日までの土曜・金曜と連休は午後8時まで延長)。月曜休館(祝日の場合は翌日休)。特別展会期中の入館料は大人250円、小中学生70円。電話0772(27)0230。
 
 
写真上下=特別展開催中の館内。「天橋立図」は31日から原本になる

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