難聴者支援する要約筆記 認知度低く人手が不足

2020年08月19日 のニュース

 発言者の話を聴き、文字にして必要な人に届ける「要約筆記者」が不足している。耳が聞こえづらい人らの日常生活を支援する大切な役割を担うとあって、京都府福知山市で活動に携わる人たちからは「人手を増やし、もっと多くの人に活用してもらえるようにしたい」との声が上がっている。

 要約筆記は、一定の講座を受けたあと、都道府県が管轄する試験に合格すれば誰でもなることができる。手話通訳者と同等の資格で、活動には一定の謝礼が支払われる。

 自治体や自治会での集まりなどに参加する耳の不自由な人と同席し、発言者の話をメモで伝えるノートテイクや、講演会での話を文字にしてスクリーンに写すことが主な仕事。

 市内には要約筆記者の資格を持つ人が15人ほどいるが、家庭の事情や仕事などの関係で、実働できる人は現状ではほぼ5人。最近では要約筆記者の派遣依頼が年間に約80件ほどあるが、基本的に3人1組で活動にあたり、ほとんどをこの5人で回している。

 その一人の竹下香代子さん(66)は「依頼をこなすのがやっと。制度の認知度が低いことも悩みです。この制度が必要な人のために、積極的に啓発ができずに歯がゆい」と話す。

 病院などへ付き添うこともあるが、市内の要約筆記者は女性しかいない状態で、「依頼される方も同性の方が心強いときがあるのでは」と気をもむ。

 一方でやりがいがあり、要約筆記を利用した人に「耳が聞こえづらくなってから初めて集団の輪に入れた」と感じてもらえた時など、達成感を味わえる。また、講演などでは一般の人からも「分かりやすかった」などの声が届くことがある。

 市内の要約筆記者たちで、サークル「みみの輪」(日和夏美代表)をつくっており、その中での仲間との交流や、いろいろな人とつながりが持てるのも魅力の一つだという。
 
■市が養成講座 12月11日まで全11回■

 市は9月25日から「要約筆記講座」を開く。12月11日までの毎週金曜日(11月27日を除く)の全11回で、時間はいずれも午後1時30分から4時40分まで。市在住、在勤・在学の18歳以上が対象。8月27日まで先着10人を募る。

 講師は日和代表と竹下さんが務め、要約筆記の技術や基本について教える。市内で生活する難聴者との交流もする。受講は無料だが、テキスト代に3670円が必要。修了者には、テキスト代の3分の2を補助する市の助成がある。

 竹下さんは「特別な経験が無くても、やる気さえあれば、家庭的な雰囲気のなかで楽しく学べる講座です。少しでも興味があれば気軽に問い合わせてください。接客業の研修としても使ってもらえればうれしい。たくさんの人に要約筆記の輪が広がれば」と参加を呼びかけている。

 問い合わせ、申し込みは市障害者福祉課、電話(24)7017へ。期間を過ぎても申し込みを受け付ける場合があり、連絡があれば相談に応じる。
 
 
写真=要約筆記者によるノートテイク

Tweet
京都北都信用金庫
大嶋カーサービス

 

「きょうで満一歳」お申し込み

24時間アクセスランキング

著作権について

このホームページに使用している記事、写真、図版はすべて株式会社両丹日日新聞社、もしくは情報提供者が著作権を有しています。
全部または一部を原文もしくは加工して利用される場合は、商用、非商用の別、また媒体を問わず、必ず事前に両丹日日新聞社へご連絡下さい。