激甚化する水害 福知山市が避難のあり方を見直し
2019年10月31日 のニュース
2013年から昨年まで4度にわたる大水害に見舞われた京都府福知山市が、的確な避難行動への情報発信や避難所のあり方を見直す。防災に関係する市民、行政、学識経験者らで検討会を11月に立ち上げ、じっくりと内容を積み上げて、来年度には最終報告書を取りまとめる。
福知山は市内に由良川が流れ、昔から水害に悩まされてきた。しかし、その中でも近年は台風18号(13年)、8月豪雨(14年)、台風21号(17年)、7月豪雨(18年)と大きな被害が続く。全国的にも水害の激甚化と頻発化が目立つ。
行政主導の「防災」には限界があり、より早い避難行動で命を守る「減災」が重要だとして、市は実態に応じた今後の避難のあり方の方向性を、市民に示すことに本腰を入れる。
検討会では、避難の必要性が分かりやすい情報と効果的な伝達方法、災害リスクに応じた避難先の選定、使いやすい避難所の受け入れ態勢、防災教育の充実などを柱に、取りまとめる。
さらに、関係団体への聞き取りもしながら具体化し、来年の出水期にはモデル地域での避難行動の実践も行う予定にしている。
昨年の7月豪雨で広域避難所へ逃げた人数は最大時で943人。全市民の1%余にとどまるが、自宅2階で垂直避難した人らは含まれていない。夜間や急激な水位上昇時には避難所に行くことが、かえってリスクになる場合もある。
大橋一夫市長は「事前に(垂直避難も含め)避難行動をとっていただくことが重要で、本市の避難全般について議論していきたい」。市危機管理室は「必ずしも避難所に行くことが全てではありません。その都度、的確な避難行動が取れるための必要な判断材料をいかに提供できるか。市民の避難行動に対する意識を高めていきたい」と話す。
写真=避難所のあり方も見直す(2014年8月、成和中学校)