2人の女性現代美術作家、国の有形文化財「茂照庵」に滞在し活動 漆の新たな表現法探り
2026年09月23日 のニュース

京都府福知山市六十内にある、国の有形文化財に主屋や土蔵などが登録されている「茂照庵」(桐村家住宅)で8月から、日本人とスウェーデン人の現代美術作家が滞在し、制作活動に取り組んでいる。2人が手掛けるのは、漆を現代美術に取り入れた作品。地域の人たちとの交流も深めながら、歴史ある建物を創作の場に、漆の新たな表現方法を探っている。
滞在しているのは、谷沢周子さん(27)とテリアス・ノールグレンさん(34)。3年前、留学先のドイツの美術大学で谷沢さんが開いた漆のワークショップで2人は出会った。すぐに意気投合し、テリアスさんは日本の伝統工芸である漆に深く興味を持ったという。
帰国後、谷沢さんは漆に対する従来の固定観念にとらわれず、現代美術の表現に漆を取り入れながら、作家同士で共同制作できる場所を探していた。
そこで、母親の友人で福知山出身の古村理加さん=大阪府八尾市=に相談したところ、古村さんの父親の生家で、かつては漆の卸問屋でもあった茂照庵の利用を提案された。
「これまでから、歴史ある建物であるこの場所を、何か目標を持って活動する人たちに利用してほしいという思いがあった」と古村さん。主屋に隣接する蔵をアトリエとし、2人が制作に集中できる環境を整えた。

住民たちと交流深め作品づくりに没頭
8月中旬にテリアスさんが来日し、2人は敷地内の離れを借りて生活を始めた。
NPO法人丹波漆(高橋治子理事長)の協力を得て、夜久野町の漆掻きの現場を見学するなど、長い時間をかけて育まれる漆への理解を深め、創作のイメージを膨らませた。現在、谷沢さんとテリアスさんは「時間」をコンセプトに作品づくりを進めている。
谷沢さんは「周囲の環境も含め、制作活動に没頭できる環境で、作品ともしっかりと向き合えています」と手応えを語る。
毎朝、集落をジョギングするのが日課というテリアスさんは「みなさんがとてもフレンドリーで、私たちの活動にも興味を持ってくれています」と笑顔を見せ、「スウェーデンでは日本の文化がとても人気で、私も大好き。漆を使った作品は制作に時間がかかるし複雑な部分があるけど、そこが大きな魅力に感じます。滞在期間中は漆のさまざまな表現方法を探りたい」と意欲を見せる。
2人は10月まで滞在予定で、同月8日から11日まで、神戸市の「キャップハウス」で展示会も予定する。
六十内の小林伸輔さんは「彼女たちは自分から住民とも積極的にコミュニケーションをとってくれ、地域に新たな刺激や活気をもたらしてくれています」と喜ぶ。
茂照庵を管理する古村さんは、今後も施設の活用を考えていて、「今回、実際に活用してもらうことができて、よいきっかけになったと思う。ただ単に滞在できる場所にするのではなく、学生さんやアーティストさんが拠点にし、文化を育む場所になれば」と期待を寄せる。
写真上(クリックで拡大)=制作中の作品を持つ谷沢さん(中央左)とテリアスさん
写真下(クリックで拡大)=国の有形文化財に登録されている茂照庵(桐村家住宅)








