かつての藍文化継承へ 庵我地区で“藍愛プロジェクト”始動
2025年05月14日 のニュース
かつて栄えた由良川藍の伝統文化を継承、発展させようと、京都府福知山市庵我地区で新たな取り組みが始動した。住民組織の庵我まちづくり協議会が「藍愛プロジェクト」と銘打ち、藍の栽培に初挑戦。染色まで手掛けていく。
福知山の由良川流域では、約600年前から藍が栽培されていたとされ、江戸時代に最盛期を迎えるも、明治時代に化学染料が台頭。全国的に藍が衰退する中、府内で最後まで藍が栽培されたのは庵我地区だった。その後、100年前の1925年を最後に途絶えた。
地元では82年、この藍染めを地元の産業にできないかと、故塩見敏治さんが中心となって動き出し、藍の復活に成功。そのときのメンバーたちで95年に福知山藍同好会を結成し、現在まで30年間にわたって、由良川藍の文化継承や普及活動を続けてきた。地元の庵我小学校の子どもたちも授業のなかで藍の栽培を体験している。
昨年4月に設立された庵我まちづくり協議会は、地域の歴史と風土を生かしたまちづくりの一環で、地域活性化部会の新規事業として藍愛プロジェクトをスタート。協議会役員が所有する中地区の畑で藍の栽培に挑戦することにした。
この取り組みについて、藍同好会の会長で、敏治さんの妻・勝美さん(86)は「私も高齢になり、いつできなくなるか分からない中で、地元の人に着目してもらえたのはすごくうれしいこと」と喜び、「庵我の産業として発展させていけるよう、ともに頑張りたい」と意気込む。
まちづくり協議会の的場一二事務局長(76)は「この活動を通じて、地元の人たちが地域のことにより深く関心を持ってもらい、地域の輪を広げていきたい」と願い、「わいわいがやがやと楽しくやることが大事。事業を定着させたい」と力を込める。
今年度の目標は「収穫した藍を使って藍染めのTシャツを作り、地元の子どもたちに贈ること」で、将来的には福知山市のふるさと納税の返礼品にしたいと展望を語る。