近畿一円から100機関2200人参加し合同訓練 大規模災害に備え連携強化 

2024年10月29日 のニュース

 京都府内で26、27両日、地震と水害の複合災害を想定した近畿府県合同防災訓練が行われた。主会場となった福知山市天田の陸上自衛隊福知山訓練場、猪崎の三段池公園を含め府内10カ所以上であり、近畿一円から消防や警察、自衛隊、医療関係などの約100機関、約2200人が参加。それぞれの役割を確認しながら救助や消火訓練などを行い、大規模災害に備えて連携態勢の構築に力を込めた。

 総務省消防庁、京都府など主催。阪神淡路大震災をきっかけに、福井、三重、徳島を加えた9府県が持ち回りで毎年実施していて、京都では9年ぶり4回目で、府北部では初開催。府総合防災訓練、市地域防災訓練なども同時に実施した。

 25日夜からの大雨で地盤が緩んだうえ、福知山を通る三峠断層を震源とする震度6弱の地震が26日朝に発生したとの想定で訓練開始。被害状況の確認や応援を要請するところから始め、物資輸送、救護所運営、テントでの宿泊などをした。

 発災2日目の27日の同訓練場では、倒壊した建物からの負傷者救出訓練を実施。浸水で孤立した地域の建物に住民が生き埋めになっている想定で、ボートを使って水上を移動して現地に向かい、「頭ぶつけないように」「もうちょっと頑張ってね」などと仲間や要救助者役に声をかけながら、慎重に助け出し、ボートまで搬送した。

 長田の陸自長田野演習場でも訓練があった。能登半島地震で道路被害によって、応援到着に時間がかかったことを踏まえて、現場へ向かう際に、倒木や土砂などの障害物を取り除く内容で行った。

子ども向けブースも

 このほか、同訓練場には消防や自衛隊などの車両がずらりと並び、見学に訪れた子どもたちは大興奮。子どもサイズの制服や防火服を着て、運転席に乗って喜んでいた。母親と訪れた大正小学校4年の男子児童は「救急車や消防車が好きで来ました。ドクターヘリも間近で見られてよかった」と話していた。

三段池では住民らが避難生活を体験

 三段池公園総合体育館では27日、避難所運営訓練があり、住民ら約70人が避難所生活を体験し、市職員や医療、福祉職らは有事の際の対応を確認した。

 体育館には、避難所開設3日目を想定し、市が保管している2畳分の広さのパーティション30家庭分を設置。避難者役の参加者は自分たちで組み立てた段ボールベッドを置いたパーティション内で待機した。

 そこへ巡回してきた看護師らが、「地震、びっくりしましたね」などと声を掛け、「普段、薬は飲まれていますか」「食べられないものはありますか」などと聞き取り、血圧測定などもした。「高血圧で糖尿病」「不眠症でうつ」だという設定の参加者もいて、体調などから判断して医療チームへとつないでいた。身体障害者らの参加もあり、聴覚障害者には手話でさまざまな情報を伝えた。

 参加した足立浩康さん(60)=呉服町=は「きょうは慌てなくてもいいですが、災害時はけがをしている人もいると思うので、避難所内がひどい状態になると思います」と不安な気持ちを述べ、妻と乳幼児2人の家族4人で避難者役をした男性は「持ち物の中でオムツやミルク、塗り薬など子ども目線で見たときに、必要なものが足りないと感じた」と話していた。

 福知山で暮らす外国人は、担当者から防災アプリの必要性、段ボールベッドやマンホールトイレの使い方などの説明を受けていた。

 また、他府県からの医療や福祉チームの支援を円滑に受け入れられるようにするための訓練もあった。

 訓練で出された意見はとりまとめて各機関に伝え、今後の活動に生かしてもらうことにしている。

 

写真上(クリックで拡大)=建物に取り残された人を救出する訓練を行った(陸自福知山訓練場) 
写真下(クリックで拡大)=避難者に体調を聞く看護師ら

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