福知山公立大の松山教授 国際学術誌で優秀査読表彰
2024年05月18日 のニュース
京都府福知山市西小谷ケ丘、福知山公立大学情報学部の松山江里教授が、投稿された論文の誤りや内容を指摘する査読で高い評価を受け、世界的な学術出版社が発行する国際学術誌の2023年優秀査読者賞に選ばれた。
選んだのはドイツのシュプリンガー社が出版する「Radiological Physics and Technology(放射線物理学と放射線技術)」。放射線科学に焦点を当てた論文を英語で掲載しており、査読は他の研究者が投稿した論文の妥当性、独創性などを判断。学術誌の質を保つ役割を果たす。
松山教授は、AI(人工知能)を活用した医用画像の分析を研究していて、2020年には自身が執筆した論文が医用画像情報学会の内田論文賞を受けた。査読は2009年から行っていて、訂正箇所があれば投稿者に寄り添い、言葉を選びながら指摘するよう心掛けている。
公平な評価をするため、投稿者と査読者はお互いに名前を伏せた形で行い、23年は同誌に寄せられた論文3本の査読を担当。「1本に対して数回の査読と再投稿を繰り返しました。やりとりを数えると9、10本分相当の作業でした」と言う。「評価される側(論文投稿者)にとって、査読結果を見るのは緊張しますし、コメント次第では落ち込むこともあります」と、丁寧に投稿者の論文に向き合った。
直近数年内に書いた複数の論文が国際ジャーナルに掲載されていること▽修正、加筆の指摘内容が的確であり著者への指示が建設的で丁寧であること▽著者の将来の研究に対して支援している-などの表彰基準を満たし、優秀査読者賞に選ばれた。日本放射線技術学会の総会学術大会で授賞式が行われた。
松山教授は「このような賞を頂けたことは大変光栄。これからも恩師の佐井篤儀・元新潟大学教授を見習い、研究者育成に尽力することで、業界に貢献していきたい」と話していた。
写真(クリックで拡大)=優秀査読者賞を受けた松山教授