「福知山の変」6人目は女性杜氏の今川さん
2024年03月18日 のニュース
まちを変えていく人たちを応援する京都府福知山市の市民参加型PR企画「福知山の変」6人目に、300年以上続く東和酒造の11代目で女性杜氏の今川純さん(43)が選ばれた。市内上野の醸造所で16、17両日に開かれ約1千人が訪れた第9回酒蔵祭りで発表された。廃業寸前にまで追い込まれた酒蔵を受け継ぎながら、地域の風土を生かした酒造りに打ち込み、新しいことにも果敢に挑んでいる。
福知山の変は、まちの礎を築いた明智光秀を超えるような挑戦をし、さまざまな分野でまちを変化させていく「変化人」を紹介する取り組み。市職員とクリエイターが協力して手掛けたポスターを各所に張り出してPRしている。
東和酒造は1717年創業で、長い歴史があるが、1977年に井戸枯れを起こし、酒造りができない状態に。製造委託を続けていたが、いよいよ廃業が決まりかけた時、今川新六社長の長女、純さんが「どうせ大変なら前向きなことを」と、自らが杜氏となり酒蔵を復活させる道を選んだ。
各地の蔵元などで修業を積み、2011年に自家醸造を33年ぶりに復活させた。純さんが一から考案した「六歓」は、地元六人部の米、水、空気、機械に頼らず人だけで作り上げ、多くの支持を受けて代表銘柄にと育った。他の酒も六人部の酒米を積極的に使い、地元産にこだわった酒を造る。一方で、明智光秀をイメージした純米吟醸酒を販売したり、コロナ禍の2020年には終息を願ってアマビエのラベルを作ったりと、新しいことにも意欲的。
ポスターは、蒸し米の蒸気が立ち上る様子と酒造りに向き合う純さんの顔写真を合わせた。酒蔵復活に向け、目まぐるしい日々のなかで、蒸気が上がる姿に「お酒を造れているんだ」と実感が湧いたといい、その“復活ののろし”を象徴するデザインになった。
完成したポスターを見た純さんは「すごいきれいに仕上がっています」と喜び、「六人部で六歓を作る身として、順番が6人目なのは運命を感じます。今後も地元の酒米をどんどん使うことで農地保全にもつながる。酒造りを通じて地元に貢献したい」と話していた。
写真(クリックで拡大)=ポスターを持つ今川さん