愛宕神社の再建委 初公判に、やり場の無い感情
2023年12月19日 のニュース
放火で全焼した愛宕神社の復興を目指す京都府福知山市前田、土師両地区の住民による再建委員会の会合が、前田公会堂で16日にあり、放火の罪で起訴された元大学生の男(19)の初公判(12日、京都地裁)を傍聴した住民の報告があった。公判では、被告の名前は明かされず、住民は身勝手な動機に納得できず、やり場のない感情を抱いたという。
創建400年余り。両地区で管理する愛宕神社は火除けの守護神として、地区内外の信仰を集めてきた。6月に本殿など3棟が燃やされ、これを含む前後6件の連続放火の罪で、市内に住む当時大学生の男が逮捕、起訴された。
裁判を傍聴した再建委員会の土手隆晴委員長(74)が、会合に出席した住民代表の委員16人を前に、公判の様子を語った。
土手委員長は「裁判開始後の本人確認は口述ではなく、紙に書くため、私たちは名前も何も分かりません。ストレス解消や世間からの注目などが動機とのことですが、そんなことで放火をされたのではたまったものではない」とうなだれた。
被告側は起訴内容については認めたが、「『責任能力を争う』と言っていた。これから長い時間がかかるんだと思います」と話した。再建委員会では神社の再建費を約1億4千万円と見積もるが、被告への賠償請求による財源確保は厳しいとの見方を強めている。
16日の会合では、地区内で募金活動を始めたことを確認し、今後、地区外にも広く協力を呼びかけていくための準備を整えていくことで合意した。
土手委員長は「ずっと大切にしていたものを、ある日突然に何の気なしに奪われた。この思いをどこにぶつけたらいいのか、という感情は今も消えないが、再建に向けて一致団結したい」と話していた。
写真(クリックで拡大)=初公判の傍聴報告をする土手委員長(右から2人目)