巣箱型の小さな図書館 綾部で移住夫婦が広める
2023年11月11日 のニュース
カフェや集会所などの軒下で、だれでもいつでも自由に本を借りられる。そんな小さな私設図書館が、京都府綾部市で広まっている。移住者の青年が始めた巣箱型図書館。市内の設置場所を巡る会が18日にある。
小さな図書館を広めているのは綾部市里町に住む重本晋平さん(38)、愛子さん(37)夫婦。「アトリエmeguru」のユニット名で取り組んでいる。
二人は京都市や大阪市でデザインの仕事をしていたが、晋平さんの母が綾部出身だった縁で5年前に移住してきた。その年に、「本を通じて人と交わることができたら」と、市街地にある、障害者が働く絵本カフェ「シュシュ・サクラティエ」の軒下に巣箱型図書館を設置。ひと抱えほどある大きさの、巣箱の形をした本棚の中に、絵本や小説など様々なジャンルの本を30~40冊ほど入れ、だれでも自由に利用できるようにした。
気に入った本があれば備え付けのノートに名前と本のタイトル、借りた日を記入して借りていく。返却日に決まりは無く、いつ返しに来てもよい。借りっぱなしにして返却に来ない例は、これまで無かったという。
綾部での生活が落ち着いてきたこともあって、昨年4月には、道路沿いの自宅納屋の軒下に2番目の巣箱を設けた。「植本祭」と名付けてお披露目イベントを催したところ、近所の人たちの関心を集めて、自分の巣箱型図書館を作って貸し出しを始める人も出た。
重本さんが管理する巣箱は、近所の集会所軒下を含め3カ所。それぞれ季節に合わせた本や、読んでほしい本を、子ども向け、大人向けを合わせてセレクトする。絵本が好きなので「子ども向けが少し多いかな」と重本さん。取り組みに賛同して本を寄贈してくれる人たちもいて、段ボール箱で届くことも。蔵書は「いま1千冊ほどでしょうか」と話す。
自宅の巣箱横には協力者が丸太の椅子を置いてくれた。近所の子たちが自転車で集まり、本を選んだり、椅子に座って読みふけったり。そんな風景こそを見たかったから始めた取り組みだった。
■里山ねっと事業で18日に4カ所巡る■
小さな図書館巡りは、NPO法人里山ねっと・あやべの綾部里山交流大学「あやべ・まち旅2023」の一つとしての開催。市内外問わずだれでも参加できる。18日午前10時から午後0時30分までの予定で、定員10人を先着で受け付け中。大人2千円、小学生以下1500円。4カ所を巡りながら、本を通した交流の広がりや、私設図書館の始め方などを重本さんが案内する。
図書館巡りの申し込みは里山ねっと・あやべ、電話0773(47)0040
写真(クリックで拡大)=小さな図書館を開設する重本さん夫婦